私は今、とても幸せです act 2
もしかして・・・・と言うの言葉から俺はいてもたってもいられなくなって、すぐに車にを乗せた
向かうはもちろん病院
「わざわざ仕事休んでまで一緒に来なくてもよかったのに・・・・・・」
運転してる俺に助手席に座っていたが遠慮がちに話しかけてきた
「あーん?何か文句でもあるのかよ。」
「そうじゃないけど・・・・・」
そう言いつつも、嬉しそうに笑うの顔を見て、俺もつい微笑んだ
もしかして妊娠してるかもしれねぇ身体なのに、1人で病院になんて行かせられるかよ
それにこんな状態で仕事行っても、の事が気になってそれどころじゃないからな
ハッキリしねぇと落ち着かねぇ
「気を付けて運転してね?」
「当たり前だろ。」
いつも以上に真剣な表情でハンドルを握る
「景吾・・・・緊張してる?」
「俺が?何でだよ。」
なんて言ってみたものの、実際は緊張してるのかもな
心配と不安と・・・・期待と
車を走らせること10分弱
病院に到着して、大丈夫 と言って車を降りようとするに「いいから」という一言で黙らせて
手を差し伸べてやった
「なんか景吾、優しいね。」
「ハッ、お前限定だけどな。」
そう言ったら急に顔を赤く染めて俯きやがった
その場で抱きしめたい衝動を何とか抑えて受付まで歩いていく
「初めてですか?」
「はい。」
「ではこれを書いて待合室でお待ちくださいね。」
看護婦から紙を受け取って、傍にあったソファーに座らせる
「産婦人科って初めてだから緊張しちゃうよ・・・・・」
「心配するな、俺が傍にいるから。」
周りを見ると、妊婦だらけ
中には新生児を抱えている母親もいた
ここは産婦人科だ 当たり前っちゃー当たり前だが・・・・・
こんな所、忍足にでも見られたら笑われるだろうな
『跡部が産婦人科なんて似合わへんー』とか言うだろう
だが今はそんな事を言ってる場合じゃねぇ
誰に笑われようが、の方がずっと大事だからな
が看護婦にもらった紙に記入している間、ずっとそんな事を考えていた
「跡部さん、どうぞー。」
呼ばれるまでの間、随分時間が長く感じた
多分、も同じ事を思ってるだろう
「おい、呼んでるぞ。」
うん・・・・と返事はするものの、一向に動こうとしない
「どうした?」
「・・・ドキドキしてきた。」
「大丈夫だ。」
「景吾・・・・ここにいてね?」
「あぁ、ちゃんとここにいる。」
不安そうな瞳を隠しきれないまま、は診察室に消えて行った
が診察室に入ってから呼ばれるまでの数分間、俺はいてもたってもいられなかった
どうなってる?
それから数分経って、が入っていった診察室のドアが開き、看護婦が首を覗かせた
「跡部さん、ですか?どうぞ。」
俺の姿を確認して中へと招かれる
ソファーから立ち上がり、の元へと急いだ
俺が中へ入ると、頬を微かに染めていると、先生がいた
「景吾・・・・・・」
「は、どうなんですか?」
の傍へ行き、誰が話すよりも先に俺から医師に問いただした
そんな俺の行動に小さく笑いながら医師は、こう言った
「おめでとうございます。妊娠5週目に入ってますね。」
「・・・・・・本当ですか?」
「えぇ、よかったですね。」
目を見開く俺に『はい、これどうぞ』 と渡されたのは、超音波検査した時の写真だった
「ここに写ってるのがお二人のお子さんですよ。」
指を指されて見てみるが、人の形すらしてねぇ
だが、確実にの中に新しい生命が宿ってる
「今の時期は流産しやすいので、十分気をつけてくださいね。」
「分かりました。」
嬉しさを抑えようとしてもこみあげてくる
それでも何とか抑えて顔には出さないようにしていたが、医師はそれに気づいていたようで
「こんなに喜んでくれるなんて、羨ましいですね。」
なんて言いやがった
『素直に喜んで何が悪い』
そう言ってやろうかと思ったが、医師のその言葉にが「・・・はい」なんて可愛いこと言うもんだから、口にはしなかったがな
家に帰って、2人でソファーに身を沈め、さっき病院でもらった『妊娠に関する注意』を読んでいた
「私のお腹の中に赤ちゃんがいるなんて信じられない。」
一通り読み終わったのか、本を置いて自分の腹をさすっている
「私と景吾の赤ちゃん・・・・私のお腹の中に小さな生命が宿ってるんだね。」
「あぁ・・・・・」
未だに腹の上に置かれている手を、自分の片手で包み込んで、もう片方の手での肩を抱き寄せた
も俺の肩に寄り添ってくる
そのままの柔らかい唇に自分のそれを近づけようとしたが、の言葉で遮られた
「なんか・・・景吾って『パパ』って感じじゃないよね。」
「あん?」
クスクス笑いながら言われた
キスを遮られたことに、思わず眉間に皺を寄せた
ちっ、折角お前の甘い唇を味わおうと思ってたのによ・・・
でもまぁ・・・・・確かに俺は『パパ』って感じじゃねぇかもな
だがの腹の中にいる子供は間違いなく俺の子だ
今はまだ『パパ』と言う言葉に慣れず微妙な想いも、すぐに慣れるだろう
「男の子かな、女の子かな?」
「さぁな。俺は男がいいけどな。」
「私は景吾に似た可愛い女の子がいいなー。」
なんて楽しい会話をしていたはずなのに、一瞬沈黙が訪れて
次の瞬間、が急に表情を変えた
「景吾・・・・嬉しい?」
さっきまでの表情とは変わって、少し不安そうに見つめてきやがった
何だ?まさか俺が子供欲しくないとでも思ってやがるのか?
そんなわけねぇのに
それがとの子供だってんならなおさらだ
さっき病院での行動で分からなかったのかよ・・・・・
が未だに心配そうな顔で俺の事を見てくる
「嬉しいに決まってんだろ。・・・・元気な子供産めよ。」
これは間違いなく、俺の本心だ―――
だからそんなに不安そうな顔するな
俺の言葉を聞いて、安心した表情になったをそっと抱きしめて頬に軽くキスを送った
<NEXT>
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たまひよドリーム第2弾。
まず一言。全然景吾じゃなーい!!(笑)
今回はみなさまのリクエスト(?)通りに景吾に「あーん?」を言ってもらいました(笑)
がんばってみたんですが、妊娠したことないので細かい所まで分かりませんでした。
なので「ここ違う!」っていう所があると思いますが・・・・・
大目にみてやってくださいませm(__)m
2005年 6月25日 日暮 茜