act7 〜本当の気持ち〜
何かあの日から跡部の様子がおかしい
私と必要最低限以外の事を喋らなくなった
もちろんお昼も・・・・・・
私は愛達と食べてるし、跡部はテニス部のみんなと食べてるみたい
喋らなくなったっていうより 私のこと避けてるみたい・・・・・
どうして会話してくれないの?
今では 授業中でも目も合わせる事はない
一気に距離が開いたような
心の中にポッカリと穴が開いたような・・・・・・・
そんな感じ
交わりかけた線が、また平行線に戻っちゃったのかな?
「、跡部君とどうなってんの?」
愛が隣に座っている跡部に気づかれないように小さな声で話しかけてきた
「何が?」
「亮が騒いでたよ?『跡部の奴、最近機嫌が悪くて 部活のメニューもハンパじゃないぜ』って。」
どうなってるの? って言われても あれからまともに会話してないんだから 私が知るわけない
私からは声かけづらいし・・・・・・・
ふと横をみると 跡部は隣のクラスの忍足君と喋ってる
やっぱり少し機嫌が悪いみたい・・・・・・
ピリピリした空気が伝わってくる
これから部活行くのかな
なんて少し目線だけ跡部に向けていたけど、それでも目を合わせてくれる事はなかった
「、早く行こうよ。」
愛の話を聞きながらゆっくりと荷物を鞄に詰めていると、可奈が走って私の所にきた
「へ?」
一瞬可奈が何を言ってるか分からなくて間の抜けた声がでた
今日って可奈とどっか行く約束してたっけ?
「桃ちゃんと桃ちゃんの後輩と4人でストテニ行くって昨日言ったでしょ?」
「・・・・・・あぁ、そういえば。」
昨日可奈がそんなこと話してたなぁ
すっかり忘れてた
私『行く』って返事したんだ・・・・・
それすら覚えてない
心の余裕がなくなってる気がする
「ホラ、行くよ。」
忘れてたのか・・・・っていう感じにため息をつかれて、私の鞄を持って歩き出した
「じゃ〜ね。また明日。」
「うん、ばいばい。」
愛は教室で、宍戸が部活終わるのを待ってるみたい
教室で愛と別れて、可奈と2人青学へと向かった
「お〜い。可奈、!!」
青学につく手前、私達に気づいた桃城君が 手を振ってこっちへきた
「武、久しぶり。」
「そ〜だな。って言っても一昨日会ったばっかりじゃねぇかよ。」
「私にとっては、1日でも会えない日があると寂しいのっ。」
・・・・・何? このラブラブっぷり
さりげなく可奈の奴、桃ちゃんと腕組んでるし・・・・
私いる事忘れてない?
って言うかいない方がいい・・・?
「桃ちゃん、久しぶりだね。」
「も久しぶりだなぁ。元気だったか?」
組んだ腕を離すことなく、桃ちゃんが私に声をかける
桃ちゃんとは、偶然ストテニで会って以来だもんなぁ
「うん、元気元気!!」
「で?もう1人は誰を連れていくの?」
「あぁ、もう来ると思うんだけど・・・・あ、来た。越前〜!!」
校門を出て行こうとする男の子に手を振って、引き止めた
「桃先輩。」
「越前、こっちが早川可奈子で、こっちが幼馴染の。」
「・・・・ヨロシク。で、何っスか?」
私たちにぶっきらぼうに返事をして、目線を桃ちゃんに戻す
まだ何がなんだか分かってないみたい
越前君に今日の事説明してなかったのかな?
「行くぞ、越前。」
「は?」
訳が分からないといった感じで桃ちゃんに無理やり手を引っ張られる
「早く行かねぇと人が来ちまう!!」
「ち、ちょっと桃先輩!何なんスか!!」
私たちは苦笑しながら、ずるずると桃ちゃんに引っ張られる越前君の後ろを歩いていた
そして着いたストリートテニスコート
何がなんだか分からず連れてこられた越前君も、テニスコートへ着くと少しは機嫌も直ったみたい
最初はダブルスをやろうって事で、桃ちゃんと可奈、越前君と私というペアでやることになった
桃ちゃんは相変わらずパワーテニスで対抗してくるし
越前君はどんな球も打ち返してくれる
なんか・・・・私、越前君の邪魔してないかな?
私が追いつけないと思った球も越前君がきちんと拾ってくれる
「まだまだだね」と言われながら
すいません、まだまだです・・・・
でもやっぱりテニスは楽しい!
飽きる事なく、4人でテニスを楽しんでいた
でもしばらくダブルスで打ち続けていたら 次第に息が上がってきた
やっぱり体力ないなぁ
「武ー。私達ちょっと休憩するね。」
「あぁ。しっかり休めよー!」
私と可奈は 少し休憩するために近くにあったベンチに腰掛けた
桃ちゃんと越前君は休むことなくシングルスやってる
本当に底なしの体力だなと 感心しちゃうよ
ふぅ と一息つきながら、Tシャツをつまんでパタパタと風を送り込んでいたら
「スッキリした?」
と、自販機で買ってきたコーラを手渡しながら聞いてきた
「え? まぁ。久しぶりに動いたからね。」
私は可奈の意図も分からず、返事を返した
「そっか。じゃ、誘った甲斐があった。」
よかったよかったv と喜びながらコーラの蓋を開けてる
「・・・?」
「ねぇ、跡部君の事で悩んでるんでしょ?」
可奈が買ってきてくれたコーラを飲んでいたら、可奈が話しかけてきた
思わず飲んでいたコーラを噴出しそうになる
いきなり何の話をしてるの?
「え・・・・・なんで?」
「最近なんか変だよ。愛もそんなこと言ってたけど。
特に最近は跡部君とまともに会話してないじゃん。」
・・・・だからってそこで跡部につながる可奈や愛がすごい
やっぱり隠せないよね
「・・・・・・・何か私の事避けてるみたいなんだもん。私もどうしたらいいか分からないよ。」
「もう1回聞くけど、は跡部君のこと好きなの?」
「・・・好き、なのかな?」
好きか嫌いかで言われたら・・・・きっと好き
でも・・・・・・・
「またそれ?」
私の答えを聞いて、可奈は心底呆れた表情をした
「あんた、いい加減自分の気持ちに正直になりなよ。」
それじゃ跡部君がかわいそう と言いながらコーラを飲み干した
かわいそう?
どうしてそこで跡部がかわいそうになっちゃうの?
「が気づくと思って言わなかったけど、跡部君 本気だよ。
だって本当は跡部君の事好きなんでしょ?」
「本気って・・・・だってアイツはっ・・・・・・。」
私の言いたい事が分かったのか、可奈は少し声を上げた
「昔は昔でしょ? 跡部君、今は本当に昔付き合ってた子全員と手を切ったんだよ。
それだけの事本気なんだよ。遊びで付き合うつもりなら もうとっくに遊ばれてるって!」
さすが3年間跡部のことを見てきたのか、すごく説得力のある言い方
「・・・・・・・そうかな。」
「そうだよ。」
「・・・・・・・そうだよね。」
私が決心したかのような声を出すと、ニコッと微笑んで私の背中を軽く押して言った
「よしっ!! 行って来い。」
「・・・・・はっ?」
いきなりの可奈の発言に少し戸惑った
「会いたい・・・って思ってるんでしょ?
今の自分の気持ちを正直に伝えてきなよ。今ならまだ部活やってるはずだからさ。」
「・・・・・・・私、行ってくる」
私は意を決して、慌ててストリートテニスコートから立ち去った
後ろで可奈が がんばれ!! って言うのが聞こえた
今、始めて 可奈が今日ストテニに誘ってくれたのかが分かった
きっとこの事を私に言いたかったんだね
どうしていいか分からない私に、愛と可奈はアドバイスをくれた
きっかけがないと自分の気持ちに気づかないなんて、決心できないなんて情けないかもしれないけど
ありがとう―――
おかげで自分に正直になれそうだよ
愛と可奈に心の中でお礼を言いながら学校へと足を速めた
本当はとっくに好きだって気づいてた
『好き』って言われた時、本当は嬉しかったんだよ
でも気づかない振りをしていた
気づいたら、この加速する気持ちを止める事はできないと分かっていたから
そして気づいたら自分が辛い思いをするのも、切なくなるのも分かっていた
だって跡部には彼女がたくさんいるのを知ってたから
だから私もその中の1人にされるのかと思った
そう思ってたからこそ、私を『好き』って言ってくれた時に どうしても跡部が信じられなかった
嬉しかった分だけ 跡部の事信じてあげることができなかった
みんなと同じ扱いをされるのが嫌だった
ただ私だけをみてほしかったの
それなのに―――
遊びだと思って、どうせ私も軽い気持ちで「好き」って言ってると思って
私・・・跡部の事嫌いって・・・・付き合えないって言っちゃった
本当は嫌いじゃない
好きなの 大好きなの
愛や可奈の言った通り 私、逃げてただけだった
もう逃げない 自分の気持ちに嘘ついたりしないから
遅いかもしれないけど・・・・これから跡部の所に行くから
自分の本当の気持ちを伝えに
押さえ込んでいたこの想いを――――
<next>
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Border Line act7終わりました
ずいぶん間があいてしまって申し訳ありません!!
とうとう自分の気持ちに気づいたちゃん
可奈ちゃんのおかげですね〜♪
次で最終話・・・・?
にする予定ですv
もうしばらくお付き合いくださいませ。
10月 11日 茜