act 5 〜複雑な気持ち〜








跡部の告白からもう頭の中は ますます混乱状態

いくら熱があったからっていっても 聞き間違いではない・・・・と思う

あの氷帝一モテる男が、何で私なんかに『好き』って言ったの?

そもそも 何であんなに普通に喋るようになったんだろう

やっぱストリートテニス&席替えがまずかったんだろうな・・・・・

それまではすごく遠い存在だったハズなのに、いつの間にかよく喋るようになって・・・・・

告白・・・・されたんだよね・・・・?

跡部の奴、何考えてるのかさっぱり分からない

・・・・・・やっぱ遊びだよね

私はそういう事しない って普段の会話から分からないかな

・・・・・・・分からないから告白なんてしたんだよね

どうしたらいいのよ?

あの俺様は、相変わらず普通通りに話しかけてくるし

私も、深く考えると普通に話せなくなっちゃうから、跡部と会う時はなるべく告白された事を考えないようにしている

でも、やっぱり心のどこかでそれが引っかかってる






。」

「・・・・・・何?」






 お昼

ご飯を食べようと 愛と可奈の所へ行こうとした所へ跡部が声をかけてきた

「ちょっと付き合え。」

「今から愛達とご飯食べるんだけど・・・・。」

「いいから弁当持って屋上に来いよ。」

そう言ってスタスタ教室を出て行った

拒否権がない・・・・・・・何ていう我侭

さすが俺様・・・・・・・

なんてくだらない事に関心してないで、お弁当を持って急いで愛達の所へ行く


「・・・・・ごめん、今日一緒に食べられない。」

「もしかして跡部君?」

「・・・・・・うん。」

「なによぉ、〜いつの間にあんたたちラブラブ?」

違うって・・・・・・

事情を知ってる愛と可奈が私を冷やかす










 告白された次の日、私は愛と可奈に相談した

まさか私が跡部に告白されるとは思ってなかったみたい

そうだよね

告白された自分が一番驚いてるんだから


「マジでぇ〜〜っっ!!!!」


まず学校中に聞こえるような大声を上げたのは可奈

「・・・・・・マジです。」

「でも何となくいい雰囲気だったよね。今思うと跡部君が授業サボったりしなくなったのって、と席が隣になってからじゃない?」


放課後の教室 いるのは私達3人だけ

私が『話たいことがあるから聞いてくれる?』・・・・と言って愛と可奈に残ってもらった

こんな問題、1人で解決しようなんてほうが無理!!

愛は漫画を読んでいて、可奈は今週が週番で日誌を書いていたが 私が爆弾発言をすると2人とも手を止め、話を聞き入ってくれた

「で、は跡部君の事好きなの?」

当然聞かれるこの質問

いつもは私が聞いていたのに、今回は聞かれる立場

「・・・・・・分かんない。」

「何か曖昧ねぇ。」

「まぁ、分からなくもないけどさ・・・・。」

私に相談してた時、愛や可奈もこんな気持ちだったのかな

自分の気持ちが分からない

どうすればいいのかも・・・・・

こんなの初めて

「だって絶対からかってるだけだよ・・・・・。」
 
好きだって認めたら・・・・・・・ 本気になったらなっただけ ふられた時はきっと立ち直れない

だって絶対に遊びだから そんなの分かってるから

私は、遊びだけの関係なんていらない

本気の恋愛がしたい

今まで愛達から跡部の話を聞いてたから

「女癖が悪い」とか、「いろいろな女の子と付き合ってる」・・・とか

何より、1年前に自分の目で見てる

跡部が女の子を振る所を

しかも跡部が浮気をしたとか何とか言ってた

そんな人をどうやったら信じられるの?

「好きだ」なんて言われて、すぐ信じられるわけないじゃん

だから好きにはならない 本気になってはいけない人

それが跡部 景吾


「確かにの言うことも分かるけどさ・・・・・・それって逃げてるだけじゃないの?」

愛の発言に顔を上げる


え・・・・・・?

逃げてる 私が?

「私もそう思うけどさ、今はまだ自分の気持ちが分からないんじゃない? 私もそういう時あったし・・・・・・」

「まぁ、私にもあったけどさ。」

アハハ と2人顔を見合わせて笑い出す

やっぱり愛にも可奈にもあったんだ こんな気持ちの時って

「だったらしばらく跡部君の様子を見てれば?」

「え・・・・・どういう事?」

「だから今まで通り、普通に接してるの。そのうちの気持ちもハッキリしてくるんじゃない?」

今まで通り・・・・・・?

「・・・・・分かった。」

何かあんまり為になったとは思えないけど、自分の気持ちを聞いてもらっただけで 少し楽になった気がする


話してよかった――――









「だからご飯は2人で食べて?」

「はいはい、仲良くねv」

そんなんじゃないのに・・・・・

あっ、急がないと怒られる

じゃあ と手を振って急いで教室を出て、屋上へ向かう







「遅ぇ。」


これでも急いで来たのに、第一声がそれですか?

そもそも何で私が跡部とご飯食べるの?

「すいませんでした〜。」

適当に謝って 跡部の近くに腰を下ろし、お弁当を広げる

一緒にお弁当を食べるようになって1週間

あの告白の後から、異様に私を誘ってくるようになった

部活のない日は わざわざ送ってくれたり

家、逆方向なのに・・・・・


今日は早起きしたからがんばって だし巻き卵作ってきたんだ

どれから食べよう 

いつものように、たこさんウインナーから食べようかな?

でも から揚げも捨てがたい・・・・・・

どれから食べようか迷ってたら跡部の手が、私のお弁当箱に伸びてきた

必死に避けようと思ってお弁当箱を動かす前には、私の大好きなだし巻き卵がなくなっていた

なんという早業・・・・・・・じゃなくって!!

「私のだし巻き卵っ・・・・・・。」

「1つ取られたくらいでがたがた言うな。」

がたがた言うな・・・・って、私のお弁当なんですけど・・・・

なによぉ〜っ! 

だいたい自分の超豪華なお弁当があるんだから それを食べればいいじゃない


「ほら。」

跡部の声と共に私の目の前に差し出してきたのは、かわいくデコレーションされているクロワッサン

「え・・・・・・いいの?」

「あぁ、食え。」

素直に受け取り、クロワッサンを見る

これって どっちかっていうと女の子が食べるようなデコレーションだよね

こんなのいつも食べてるのかな

跡部がこれを食べてる所を想像するだけで、笑いがこみ上げてくる

堪えきれずに思わず吹きだしちゃった

「・・・・・何笑ってやがる。」

「だってこれを跡部が食べてる所を想像したらおかしくって・・・・・・」

言ってるそばからまた笑いが止まらなくなる

「俺がそんなの食うわけねえだろ。 お前が食うと思って作らせたんだから残さず食えよ。」

跡部は、眉間にしわを寄せながら答えた

こういうのを食べてると思われたのが嫌だったみたい


・・・・・・かわいいのに

だっていきなり渡されたら、いつも食べてるんだな〜って思っちゃうよ


それにしても『作らせた』・・・・・金持ちのお坊ちゃまめ・・・・・・・

でも私の為に頼んでくれたんだ・・・・・・・

「ありがとう。」

素直にお礼を言い一口かじると、普段食べているクロワッサンとは全然違った触感と歯ごたえがした

味も全然違う 甘くてもちもちした触感が口の中に、ふわっと広がっていく

「すっごくおいしい!!」

「当たり前だ。俺ん家で作ったんだぞ。」

「はいはい・・・・・・。」


でも本当においしい 

こんなおいしいの食べたことないよ

跡部はこんなのを毎日食べられるのか・・・・・うらやましい

自分で持ってきたお弁当はそっちのけで、クロワッサンにかじりついていた

だってすごくおいしいんだもん♪


両手で持っても少しはみ出るくらい大きくて、食べ終わった頃にはお腹がいっぱいになりかけていた

あ・・・・・お弁当持ってきたんだよね

どうしよう

と、お弁当箱に視線を移すと 全然手をつけていなかったはずのお弁当が綺麗になくなっていた

あれ・・・・・?

「結構うまかったぜ。」

隣でフッと笑う跡部の姿が

私のお弁当全部食べやがった・・・・・・

いつの間に・・・・

でも 私ももう食べられなかったから、跡部が食べてくれて丁度よかったかも



そういえば、今・・・『うまかった』って言ったよね?

あの跡部が人を褒めた!!

人を見下す事はあっても(いつも?) 人を褒める事はない人だと思ってたから

何か・・・・・・嬉しい

「ありがとう。」

「明日も作ってこいよ。」

「別に跡部の為に作ってる訳じゃないよ。」

「明日はお前の好きなものを持ってきてやるよ。 何がいい?」

「・・・・・・サンドイッチが食べたい。」

「そんなんでいいのか? 分かった。作ってきてやる。」

うわ〜い 楽しみっ

それにしても 食べ物で釣るなんてっ

それに乗ってしまう私も・・・・・・・



「さて、教室戻るぞ。」

「うん。」

跡部が先に立ち上がって歩いていった

私も後をついていく

歩いている時に、ふと背中越しに跡部を見た


・・・・・・跡部お弁当は?

見るとお弁当らしきものは持っていない

私が来た時も、クロワッサンが入った袋しか持ってきてなかった

という事は 最初から私のお弁当を食べるつもりだったの?








・・・・・・確信犯







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 跡部邸で作られたクロワッサン・・・・食べてみたいな〜。
 クロワッサンだけとは言わず、跡部さんの部屋も是非見てみたいvv
 それにしても、前回に引き続き、たいして話進んでない〜!!
 すみません・・・・・。
 次こそはっ!