-はじめに-


この作品は、主人公の友達の愛さんは宍戸君とお付き合いしており、可奈さんは桃城君とお付き合いしている設定になっています。


それをご理解された方のみ駄文ですが、読んでみてくださいませ m(__)m













彼の存在は入学したその日から知っていた 新入生総代をつとめた人

でも、もしそんなのをやっていなくても 彼の事は知っていただろう

同じ学年の人どころか、学校に在学するみんなが知ってる

もっとも私は直接話したことはなかったし、そもそも そんな私と近い人でもなかったし・・・・

この平行線は決して交わることはないと思ってた




あの日までは――――










    
Border Line

       
act1 〜跡部景吾という男〜








最高学年になって 少し気持ちを引き締めて過ごしていた春の終わり

初夏の風が心地よく 窓際に座っていた私は思わず目を瞑った




お昼休み

いつものように教室でお弁当を食べてると、突然可奈が 知ってる? と小声で話を持ち出してきた

「何が?」

「また跡部君、彼女と別れたらしいよ。」

「そうそう、もうウワサだよね。何人目だろうね〜。」

自販機で買ってきた いちごミルクを飲んでいた愛が うんうん と相槌を打った


「ふ〜ん・・・・・」

私はたいした興味もなさそうに、たこさんウィンナーを箸でつつきながら答えた

「何でいつもは跡部君の事になると 興味なさそうな顔するの?」

私の返事に不満を持ったのか、可奈が口を尖らせて私をみる

興味なさそう じゃなくて興味ないんだもん・・・・・

「ちゃんと聞いてるから・・・・」

と適当に返事を返して話を続けさせた


椅子を持ち寄り、3人で私の机を囲んで食べるお昼は もう3年続いてる




愛と可奈は幼馴染

中学に入って私は愛と同じクラスになり、すぐ仲良くなった

1年の時は私達とクラスが違った可奈を 愛に紹介してもらったの

でも今年は めでたく3人同じクラスになれたんだv よかった〜本当、神様に感謝しなきゃっ

なんていっても氷帝は生徒の人数がハンパじゃない

1学年14クラスもある・・・・・そのせいで同じクラスですら まだ全員名前を覚えきれてない

愛とも可奈とも話はあうし、一緒にいて楽しいんだけど・・・・

1つ、どうしても分からない事が・・・・・

それが今話してた跡部って人の事



実は二人とも跡部のことが好き

でも愛は跡部君と同じテニス部の宍戸と付き合ってるから そんなに騒がないけど、可奈は付き合ってる彼とは学校が違うから、普通に (私達の前でだけ) 騒いでる 

まぁ、二人ともただのファンみたいだけど・・・・・・

可奈からすると 跡部は可奈の 『癒し』 らしい

1回 『どうしてあんなのがいいの?』 って聞いた事がある

そしたら二人とも声をそろえて

『だってかっこいいじゃん』    ・・・・・・・そうですか

もう それしか言葉が出てこなかった






その 跡部 景吾 は氷帝学園の生徒会長を勤めている

面倒くさそうに でもキチンと仕事をこなしてる所を見かけたことがある

それに跡部という男は テニス部の部長をやってる

“生徒会長”という それだけでも大変な位置にいるのに・・・・・

氷帝テニス部の人数はハンパじゃない

200人以上もいるうちの頂点に立っているんだよね

テニスもすごくうまい らしい

なんたってシングルス1を あの榊先生から任せられてるくらいなんだから相当うまいんだろうな

よくそれで身体もつよね〜 と人事のように関心しちゃう 

そこまで聞けば みんな 『かっこいい〜』 っていうのも分かるよ

分かるんだけど・・・・・




実際の 跡部 景吾 は

『自己中心的』 

『高飛車』

そして何といっても 『俺様』

なんか 『自分を中心に世界は回ってる』 って思ってる 絶対!!



氷帝のテニス部はかっこいい男の子が揃ってる

宍戸や、ジロー君や、忍足君もかなり人気があるんだよね

その中でもダントツに人気があるのは 跡部 景吾

ファンクラブまであるくらい

確かに顔はかっこいい それは私も分かるよ

でもね、どう考えても性格に問題あり!! と思うのは私だけなの?







 何の接点もなかった跡部君と初めて会ったのは(というより個人的に見かけたのは)中学2年の秋―――




緑色だった葉っぱが黄金色に変わり始め、朝晩は冷え込むようになり始めた

昼でも 時折冷たい風が頬をかすめる

私は 結構仲の良い鈴木君に呼び出されて裏庭に向かっていた

鈴木君とは同じクラスで 前に席が隣同士になってからというもの、席が離れてしまった今もよく喋ってる




「何だろう・・・用事って。」

裏庭は校舎から少し離れてるから 滅多に人は来ない

待ち合わせ時間は12時50分

いつもはゆっくり可奈達と喋りながら食べるお弁当も 今日は急いで食べた

そして、愛と可奈に 『用事があるから』 って言って教室を抜けだした

いくら昼休みが1時間あると言っても 可奈達とご飯を食べて喋ってたら いくら時間があっても足りないくらいなのに

どうしてこんな時間に鈴木君は呼び出したんだろう

教室で話せばいいのに・・・・・





っ!!」

そんな事を考えてると、鈴木君が走ってくるのが見えた

「走ってこなくてもいいのに。」

「悪い、遅れた。・・・・待ったか?」

「ううん、今来た所だから。」

少し息を切らした鈴木君が ゆっくりと私と視線を合わせる



「で、用事って何?」

早く可奈達の所に戻りたくて用件を聞く

「あ、うん・・・。実はさ・・・・・俺・・・・・」

言いづらそうに でも一生懸命言葉を繋げて喋る鈴木君

何か照れてる?  ん?

これはもしや・・・・・・?? いや、もしかしなくても・・・・・・



「俺、の事・・・・・好きなんだ!!!」

はっっ!? 

この時、生まれて初めて愛の告白というものを受けてしまいました

「え〜と・・・・・。」


これが告白というものか・・・・・ 

今まで別に好きな人なんていたことなかったから 自分から告白した事もなかった

ハッキリ言って こういう 『告白』 って事自体 初めての経験だった

返事に困るなぁ・・・・・

鈴木君とはいい男友達だったから 好き・・・・・・だけど それは友達としての好き

恋愛対象として見てなかったし・・・・

こういう場合 どうすればいいの?

付き合うべき? 断るべき?

しばらくあれこれ悩んでいると

「返事は今すぐじゃなくていいよ。 待ってるから。」

と言って鈴木君は私の前から去っていった



私はその後も しばらくその場を動けないでいた

こんな複雑な気持ちのまま可奈達の所に戻れないよ

しかも教室には鈴木君がいる 私にどうしろっていうのよ〜!

気持ちを落ち着かせるために 裏庭の隅にあるベンチに腰掛けていると、話し声が聞こえてきた

滅多にこんな所に来る人なんていないから 珍しいな・・・・と思いつつ座っていた












「・・・・・ねぇ。」

どうやら足音からして 2人みたい

恋人同士かな?? うらやましい・・・・・

と思ったのもつかの間

次に聞こえてきたのは、彼女の怒鳴り声

思わずこっちもびっくりするくらい




「どういう事? あの女と浮気してたの?」





・・・・・・う〜ん・・・・・修羅場??

私ここにいていいのかな? マズイよね

幸いここは柱の影になってて 相手の顔が見えない位置にいる

人がいないか確認してからそういう話してよぉ〜〜

でも こんな所に人がいるなんて思わないか・・・・・

「ねぇ、何か言ってよ! 景吾!!!」

「アーン? 別にお前は俺の彼女じゃねぇだろ? 一回寝たからって彼女ヅラすんじゃねぇ。こっちが迷惑だ。

あと、俺の名前を気安く呼ぶな。」

「ひどい・・・・・」

そう言うなり彼女は泣いて走って行ってしまった

跡部って・・・・ それにこの喋り方は・・・・・

そ〜っと柱の影から覗くと、あの 『自己中、高飛車、俺様』 で有名な 跡部景吾がいた

1年の頃から跡部のファンだった愛と可奈から少しは話を聞いてたけど(ってゆーか勝手に喋ってるんだけど)『女関係が激しい』っていうのは聞いていた

まぁ、実際かっこいいとは思ってたし、そんなのもただの噂でしょ? と思ってた私が馬鹿でした

本当に女ったらしだったとは!!

跡部は ふぅ と小さくため息をついて空を見上げた

私は1人の人から告白されただけで どうしていいかパニクってるのに、アイツは平然としてる

まるで 『やっと静かになった』 というような顔つきで・・・・・・
いかにも慣れてます〜 って感じ・・・・

しかも『寝た』って・・・・・・ そういうのに免疫のない私は自分の事でもないのに顔を赤くしてしまった

さ・・・・・サイアク アイツ女の子をなんだと思ってるの??

少しモテるからって許される事なの??

言いたい事は山ほどあるけど、私が言った所でアイツなら 『お前に関係ないだろ?』 って言われるのがオチ


確かにそう・・・・・・だけど・・・・・・


その時 ふっ と跡部の視線がこっちに向かって流れてきた

ヤバッ このままじゃ目が合う 気づかれちゃうっ!!!

私はとっさに跡部から視線を逸らして その場から逃げるように走った

全速力で裏庭から2年の校舎までを駆け抜けた

跡部は追ってくることもなかったし 気づかれてなかったよね 多分・・・・・

気付かれてても後姿だけだろうし・・・・・

私だって分からないはず






お昼休みの事を愛と可奈に話したら、 「やっぱ跡部様はそうじゃなきゃ!!」 って・・・・

私は思わず項垂れちゃったよ  あんたらそれでいいの??

しかも 跡部・・・『様』??

この世界に(言いすぎ?)様 を付けて呼ぶ人がいたんだ・・・・ しかもこんな身近に 

私の相談より跡部の事ですか・・・・・

私の事は「鈴木と付き合ってみれば?」「1回経験しとけv」って簡単に言ってくれちゃって

経験ってなによ!!  『お付き合い』を経験しとけって事?

ど〜せ誰とも付き合った事なんてないわよ〜だ



しばらく考えて、結局鈴木君には断っちゃった

もともと友達としか思ってなかったから

あの事があってから 前にも増して跡部の事どうでもよくなった

そして恋愛にも慎重になった

私は決して跡部みたいにはならない と(なろうとも思わないけどね)




これが彼に初めて会った時の第一印象








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  跡部様が女遊び激しくなっちゃった〜!!
  そうしたのは自分なのに
  しかもあんまでてこない・・・・。
  すいません次がんばります!!(続くのかよっ!)