彼に気持ちを伝える事なく、季節は秋へと変わっていく
夏休み中
お互い部活が忙しくて、まる1ヶ月間会えなかった
そして、今日から2学期が始まる
久しぶりにアイツに会えると思うと、少し緊張していった
ずっと小さい頃から一緒にいたのに、今更緊張なんて・・・・・
多分それは、想いが恋へ変わったから
「、久しぶりじゃねぇか。お前ちゃんと宿題やってきたんだろうな、アーン?」
「当たり前じゃない。」
「ハッ、どうだかな。後で俺の所に泣きついて来るんじゃねぇぞ。」
相変わらずの俺様な口調
このままじゃいつまでも変わらない「幼馴染」の関係
景吾の「特別」になりたい・・・・・
この想いを伝えるから
だから・・・
景吾も真剣に受け止めてね
私の本当の想いを―――
跡部景吾
「ごめんね、私が傘を忘れちゃったから・・・。」
「別に。」
短い会話
今日は絶対に午後から雨が振るのは分かってたのに、傘を忘れた・・・
それからも、あまり喋る事なくリョーマは家まで送ってくれる
怒ってる・・・よね?
私も声をかけづらい
しばらく歩いて私の家に着いた
「ありがとうね。」
「今度からは気をつけなよね。」
素早く半分占領していた傘からでてリョーマと向き合う
「リョーマ・・・肩・・・・」
ふと見るとリョーマの右肩が雨で濡れていた
私は全然濡れていないのに・・・・
もしかして・・・・かばってくれてたの?
「じゃあ。」
私の言葉を遮って、身をひるがえし自分の家へと足を動かし始める
決して口数が多くない彼
生意気に見られがちだけど
本当はすごく優しい
明日は私から言ってみようかな
いつも言われてる言葉を
―――大好き―――・・・って
越前 リョーマ あ
ふいに名前を呼ばれて、歩いていた足を止めて振り返った
長太郎君が走ってこっちへ向かってくる
「先輩っ!」
「どうしたの?」
「一緒に帰りませんか?」
「・・・いいよ。」
後ろには宍戸達がいるのに
宍戸達じゃなくて、私と一緒に帰っていいの?
そんなことされると私・・・期待しちゃうよ
「先輩・・・・・」
「何?」
「知り合いから遊園地のチケットもらったんですけど、今度の休み・・・暇でしたら一緒に行きませんか?」
「えっ・・・・」
「嫌でしたらいいんです。すみません・・・。」
「そうじゃなくて・・・・私なんかが一緒に行っていいの?」
そう言うと、彼は満面の笑みでこう答えた
「俺は先輩と行きたいんです。」
それは私にとっての魔法の言葉
鳳 長太郎
雲一つない空
時折秋の気配を漂わせるような風が吹く中、私は空を見上げる
周助と付き合ってもうすぐ2年
ふとさっき友達が言っていた事が頭によぎる
「不二君とケンカした事ないの?よく続くよね〜。私この前彼と別れて・・・」
不二君と長いよねー。 友達にそんなことも言われた
これから私達はどうなっていくんだろう
明日のことなんて誰にも分からない
今は愛の意味なんて分からないけど・・・・
「周助・・・・大好きだよ。」
「・・・急にどうしたの?」
「何となく。・・・周助は?」
「僕もが大好きだよ。」
だけど
今はこの想いを信じていたい
周助はニコっと微笑んで、頬にキスをくれた
迷う事なくそう言ってくれた事がすごく嬉しい
あなたの体温を、ずっと傍で感じていられますように・・・・
「「ずっと一緒にいようね―――」」
不二 周助 あ
あ