春 四月
部屋の窓のカーテンを開けると、明るい日差しが飛び込んでくる
「ん〜〜・・・・」
腕を上げて大きく伸び、クローゼットにかかっていた制服を取り出す
糊のきいた真新しいブラウスに腕を通し、しわのないスカートを少し丁寧に穿く
まだ見慣れないブレザーを着込んで鏡の前で何度も確かめる
「よしっ!!」
私服だったのが制服が変わったこと 赤いランドセルから茶色い手提げの鞄に変わった事が少しくすぐったい
雲一つない空
絶好の入学式日和
今日から私は青春学園中等部の一年生です―――
特権
校門の前で新入生を迎えてくれる先輩達
先輩達が新入生一人一人の胸のあたりに 『入学おめでとう』 と書かれたプレートみたいのを付けてくれてる
その後ろで満開に咲いている桜の並木道を通ると、今日から三年間お世話になる校舎が見えた
大きい校舎〜 さすが私立!!
今日は四月にしては珍しく、少し蒸し暑い
時折吹く風が心地よく、それに揺られて桜の花びらがはらはら舞い降りてくる
「よしっ!! 友達たくさんつくるぞ〜。」
小学校は普通の公立に行っていた (と言っても二年間しか行ってないけど) 一生懸命勉強して、この私立青春学園に合格した
別にどうしてもこの学校がいい!! って訳でもなかったんだ
――ただ家から近かったから
だから青学を受験した ただそれだけ
でも たぶん 『彼』 でも私と同じ立場だったらこう言うだろう
そう思った所で ふっと笑った
どうして思い出すんだろう
『彼』は遠くに 簡単には会えない所にいるのに
簡単には忘れられない過去の記憶
一年生専用の玄関先で配っていたクラス分けのプリントを受け取って自分の名前を探す
え・・・・っと
は・・・・・あった 二組だ
「・・・・・・え・・・?」
歩きながら同じクラスの生徒の名前を見てると、一人知ってる名前が私の目に飛び込んできた
思わず立ち止まってよくその名前を見る
越前 リョーマ
って・・・・・まさか・・・・・
同姓同名かな?
でもこんな変わった苗字なんてそんなにいるもんじゃないし・・・・・
トクン トクン
鼓動が早くなってく
私は気づかないうちに廊下を全力で走り出していた
一年二組に向かって
『彼』 か確かめる為に
私は二年前までアメリカに住んでいた
産まれたのは日本なんだけど、父親の仕事の都合で産まれてすぐアメリカに転勤になったらしい (当たり前だけど、憶えてない・・・・)
そこで知り合った近所の日本人の男の子
それがリョーマだった
やっぱ日本人同士っていうのもあってすぐ仲良くなった
いつも二人で遊んでいた
けど、私達が小学校四年に上がる時、親の仕事の都合で日本に戻らなきゃいけなくなった
私はリョーマと離れたくなかった ずっと一緒にいたかった
でも小学生の私にはどうすることもできない
「まぁ、しょーがないよね。」
「・・・・・」
「俺達だけじゃ、どうする事もできないし。」
「いつかまた会えるかな?」
「会えるよ、きっと。」
「そうだね――――」
最後に交わした約束
多分リョーマは忘れてるだろう・・・・
私の幼い初恋―――――
ここだ・・・・・・
教室のドアは開いていて、そのまま少し中へ踏み込む
本当にリョーマなのかな・・・・・・?
初めて出会う友達よりもまず、 『越前リョーマ』 の正体を確かめたい
さっきまでこれから一緒に授業を学んでいく友達の事を考えてワクワクしてたのに、今はさっきまでとは違う事で少し緊張してるのが自分でもわかった
ゆっくりと辺りを見渡す
「・・・・?」
キョロキョロ辺りを見回していたら後ろから突然声をかけたれた
この声は・・・・・・
「・・・・・・リョーマ・・・」
久しぶりに聞いた声は少し低くなってて、背も昔は私のが大きかったのに今は私と同じくらいになっていた
でもどうして日本・・・・・・それも青学で会うの?
「・・・・・久しぶり。」
何か少し驚いてるみたい・・・・
でも私の方が驚いてるって!!
「・・・・・・」
「元気だった?」
「・・・・元気。」
間違いない
この口調 この喋り方は・・・・・・・本物のリョーマだ!!!
「・・・?」
「どうしてリョーマがここにいるの?
いつ日本に来たの?
何で青学にいるのよぉ?」
私は混乱のあまり、リョーマに思いっきり質問をぶつけた
だって・・・・リョーマはアメリカにいるはずよ!!?
「そんなに一気に言われても答えられないんだけど。」
「・・・・どうして、日本に来る って電話してくれなかったの?」
「その方がが驚くと思って。」
そりゃあ驚くさ
じゃあ・・・・私がここに通うことも・・・?
「じゃあ 私が青学に通うこと知ってたんだ。」
「いや、そこまでは知らなかった。」
だからさっき少し驚いていたんだ・・・・
リョーマはそこまで喋って、一呼吸おいて、独り言のように呟いた
「だけど、ここが一番近くていいと思ったから青学にきた。」
「・・・ぷっ。」
それを聞いて私は思わず笑った
やっぱりリョーマだ
絶対こう言うと思ってた事が まんまと当たって嬉しい
「何?」
「何でもない。」
「・・・・変な奴。」
少し (かなり?) 生意気な口調は今でも変わらない
「こっちも驚いたよ。」
「・・・・・・同姓同名とも思ったけど、リョーマだって信じたかったの。」
「とりあえず、親の仕事の都合で日本に来たんだ。」
えっ・・・・・とりあえず・・・・・・?
って事は またアメリカに帰っちゃうの?
折角あえたのに・・・・・
「・・・何か言ったら?」
ずっと黙りこくっていた私を変に思ったのか、リョーマが口を開いた
「・・・・またアメリカに行っちゃうの?」
「・・・ううん。 もう行かない。」
「本当に?」
「うん。」
そっか・・・・・
とりあえずまた一緒にいられるんだ
あの時の初恋はあの時にもう終わった
そしてまた新しくいろんな事が待ってそうな予感
初めての学校も一人で不安だったけど リョーマがいてくれるなら一安心
「あらためてよろしくね、リョーマ。」
「こちらこそ。」
こうして私の中学校生活の幕が上がった
*
「もう!! リョーマが悪いんでしょ?」
「・・・・自分だってめちゃくちゃ書いてたくせに。」
「だって・・・・・楽しかったんだもん。」
入学式から三週間――――
今ではすっかり葉っぱだらけになってしまった桜の木を窓越しに眺めてから、リョーマに向かって愚痴をこぼした
入学してから二、三日はバタバタしてたけど、今では平常通り授業を開始している
放課後の教室に二人きり
私達は居残りさせられてマス
リョーマになんて教科書を見せてもらうんじゃなかったぁ〜
話はさかのぼって今日の五時間目の授業 歴史
私、歴史って嫌いなんだよねぇ この前も寝そうになったし
でも一応教科書は開いて聞いてるフリしておかないと・・・・・・あれ??
「リョーマ。」
「何?」
「ごめん、教科書忘れちゃった!! 見せて?」
「やだ。」
たまたま席が隣になったリョーマに教科書を見せてもらおうと、手を合わせてお願いしてみる
まぁ、素直に貸してくれるとは思ってなかったけど、即答する? 普通・・・・
よーし こうなったら・・・・餌で釣る!!!
「いいじゃん。 帰りにポンタ奢るからさ。」
「・・・・・グレープね。」
そう言ってリョーマは 仕方ないね って言いながら机をつけて私に見せてくれた・・・・のはよかったんだけど・・・・
「・・・何コレ〜。」
「あぁ。 暇だったから。」
「リョーマでもこういう事するんだ☆」 (←あくまで小声です。)
リョーマの貸してくれた教科書には、歴史上の人物の顔に面白おかしく鉛筆でいろいろと書き加えられていた
「この人超うける!! リョーマって美術とか得意そうだね。」
「・・・・・別にこれ描いたくらいで得意とは言わないんじゃない?」
「あ、私も描きた〜い。」
言うが早いか自分のペンケースからピンクのペンを取り出してまだ何も描かれてない人物を探し始めた
「(人の話聞いてないよね。) てゆーか、それ俺の教科書なんだけど・・・・。」
「ま、いいからいいから♪」
隣で呆れてるリョーマを、まあまあ と軽く肩を叩きながら描きやすそうな人物を特定する (って言ってもこの時代の人ってみんな同じに見える気がする・・・・)
「私はこの人・・・・中大兄皇子(なかのおおえのおうじ) にしよっと。」
早速ペンを教科書に走らせる
「じゃあ・・・・俺はコイツにしよ。」
どれ? とリョーマが落書きする人物を見てみる
源頼朝(みなもとのよりとも) ねぇ・・・・・やっぱ同じ顔に見える・・・・
「結局リョーマもやるんじゃん。」
「俺の教科書なんだから俺の勝手でしょ。」
と、いろいろ描き始めた
しばらく描いてて チラッと横目でリョーマの描いてるのを覗いた
「私の方がうまいね。」
「はぁ? の描いたのって ほとんど描く前と変わらないじゃん。」
リョーマ、どこをどう見てそういう事言うかな〜?
「・・・・まだまだだね。」
リョーマの発言にカチンときて、わざとリョーマの真似をしてみた
「・・・・・にゃろう。」
今でも負けず嫌いなんだ〜 本当変わってないなぁ
何か懐かしくなっちゃうよ
授業なんてそっちのけで、二人して真剣に描いてたら、リョーマが私の腕をツンツンと突付いた
「何? 私今忙しいんだからぁ・・・・リョーマは描けたの?」
「ほぉ・・・・そうか。見るからに随分と忙しそうだなぁ。」
・・・・・え?
この声は・・・・・
おそるおそる顔を持ち上げると、歴史の先生が仁王立ちして、私達の前に立っていた
「・・・・・センセイ・・・」
ヤバイ・・・・・バレた
隣ではリョーマが 小さくため息をついてる
「お前たちはよほど歴史が好きだと見える。 プリントを渡すから放課後残ってやっていきなさい。終わるまで帰るなよ。」
・・・・で今に至るんだけど・・・・・
「もともとリョーマがあんな事しなければ、今頃は無事に家に着いてたのにぃ。」
「今更文句言ったってしょうがないでしょ? 口動かしてる暇あったら手を動かせば?」
リョーマは手を動かしつつ、私と喋ってる
つくづく器用だなぁ と感心しちゃうよ
・・・・・と それどころじゃない
ただでさえ歴史苦手なのにプリント多すぎ!!
ちょっとした中学生の遊び心じゃ〜ん 少しくらい見逃してくれても・・・・・
しばらく黙ってプリントに目をやってると、リョーマが席を立ち、帰り支度を始めた
「さて、 と。」
「えぇ? もう終わったの?」
「・・・・・遅すぎ。 俺もう行くよ。」
リョーマ 早すぎ・・・・私まだ、あと二枚も残ってるのに
「まだまだだね。」
ぐっ・・・・・・言われた〜〜!!! これが本家本元の 『まだまだだね。』 久々に言われた・・・・
アメリカにいた時はテニスを教えてもらう度に、この言葉言われまくってたもんね
スタスタとドアに向かって歩いてくリョーマを慌てて引き止めた
「ち、ちょっと待ってよ!! 終わるまで待っててくれないの?」
「俺、部活あるから。」
「・・・・・そっか。 じゃ写させてv」
「駄目。」
けちだなぁ 私歴史苦手なんだから少しくらい手伝ってくれたっていいじゃん!
速攻で拒否されて少し俯く
でも部活あるんだよね
リョーマは中学でもテニス部に入ってる
小学校の頃からすごくうまかったからね
私も少し教わってたけど、大人でも敵わないくらいうまいし強い!!
そしてリョーマのお父さんはもっと強い!!
リョーマのお父さんは、確か元プロテニスプレーヤーなんだよね
「じゃ。」
「うん、部活がんばってね。」
リョーマに手を振ってまた机に視線を戻したら、ドアを出ようとしたリョーマが思い出したように呟いた
「・・・・・あ。」
「何?」
「これ。 一緒に出しといて。」
私の前に戻ってきてプリントを机に置き、教室を出て行った
何で私がリョーマの分も出さなきゃいけないの?
あ、でも写せるv
と、リョーマのプリントを見ると
“終わったら校門の所で待ってて”
と書いてあった
一緒に帰ってくれるのかな? と一瞬嬉しく思ったけど、視線を少し下にずらすと
“ポンタ奢ってくれるんだよね”
憶えてたんだ・・・・・・
でも一緒に帰れる〜〜 早く終わらせようっと
はぁ〜 がんばった!! もう少しだv
もう一息 と、気合をいれてると 閉まっていたドアが開く音がして、ドアの方を見ると女の子が二人立っていた
「あのぅ・・・・・・・。」
教室には入って来ることなく入り口の所で 一人の女の子が私に声をかけてきた
もう一人の子は赤い顔して俯いたまま・・・・
「越前リョーマ君って・・・・・ここにいませんでしたか?」
なにやらリョーマに用事があったらしい
「リョーマならもう部活に行っちゃったけど・・・・」
そう答えると 私に質問してきた女の子が
「そうですか。 どうも・・・・」
と言ってドアを閉めた
そのあと廊下では
「部活だって〜。 早くグラウンドに行こうよ。部活終わっちゃうでしょ?」
「う・・・・うん。 でも・・・・・」
「今さら何言ってんの。 大丈夫だって。」
あの子達の会話が聞こえてきた
あぁ・・・・今の会話は どうみても・・・・
告白・・・・・だよね
この青学のテニス部は強豪らしい
その中で唯一 一年でレギュラーになったリョーマ
テニスもうまいし、あれだけかっこいいんだからみんな好きになっちゃうよね
「・・・・・?」
そう思ったら胸の奥がツキンと痛くなった
何・・・・・? 今の
私の初恋はリョーマだったけど、それはあの時終わったはず
それとも・・・・・私 まだリョーマの事好きなのかな
日本に帰ってきてもずっと忘れる事ができなかったのは すぐリョーマの事を考えちゃうのは
幼馴染のせいじゃなくて そんなんじゃなくて・・・・・
今でも私・・・・・リョーマの事が好きだから
気づけなかった 気づきたくなかったこの気持ち
だってリョーマには ただの仲のいい幼馴染 って絶対に思われてるから
もし私が『好き』 ってリョーマに言ったら、この関係が崩れちゃうかもしれない
“幼馴染”
これは私だけの特権
青学に通ってる人が知らないリョーマを私は知ってる
本当はすごく負けず嫌いなトコロも
本当は素直なトコロも ただそれが生意気にとられがちになっちゃうトコロも
本当はすごくゲームが好きなトコロも
本当はすごく優しい顔をする事も・・・・・みんなきっと知らない
だって学校でのリョーマって何するにも興味なさそうなんだもん テニスのことになると熱くなるけど・・・・
自分から人に話しかけてる所ってあんまり見たことないし
私だけが知ってるリョーマ
ずっと変わらないこの関係 崩したくないけど・・・・・
リョーマが他の人の所にいっちゃうのを耐えられるほど、私優しくないよ・・・・・・
思いを口にするのは簡単で でも 想いを伝えるのは難しい―――
苦しいよ 助けてよ ・・・・・リョーマぁ
*
それでも何とかプリントを終わらせて、先生に渡した (もちろんリョーマのメッセージは消したけど)
玄関で靴を履き替えた
はぁ・・・・今リョーマに会いたくない
このまま帰っちゃおうかな・・・・・ でも約束したし
あの子リョーマに告白したのかな リョーマ・・・・付き合うのかな
二人で歩いてきたらどうしよう 考えただけで心臓が張り裂けそう
「っ。」
とぼとぼと歩いてたら後ろから声をかけられた
声だけで主が分かっちゃう
今日は一人で帰りたい気分なのに・・・・約束してたから そうもいかない
くるっと振り向くと部活が終わってすぐ来たのか、リョーマの額には汗が滲んでいた
「・・・・リョーマ。」
「一人で帰るなよ。 プリントやるのにこんなに時間かかったの?」
プリントはすぐ終わったさ
だけど・・・・リョーマの事を考えてたら時間が過ぎていったんだもん
考えてたら涙が滲んできた
もうっ いつから私こんなに弱くなっちゃったんだろう
立ち止まって俯いてたら すたすた前を歩いてたリョーマが止まって私の方に振り向き
「ほら、帰るよ。」
と言ってくれた
「・・・・うん。」
と返事はしたものの、心の中ではリョーマのことで頭がいっぱいだった
「・・・・・どうしたの?」
「・・・・・へ?」
帰り道
ずっと黙ってリョーマの後をついていってた私を不思議に思ったのか、少し歩くペースを落として聞いてきた
ヤバイ・・・・・ ずっとあの子の事考えててつい黙ってたから リョーマに不審に思われた
何とかしてごまかさないと・・・・・・
「そーいえばさ、今日部活中に女の子に会わなかった?」
「え?」
「え? ・・・私今・・・・・何て?」
自分で言った後、思わず聞き返しちゃった
私・・・・・・今何て言ったの?
一番触れたくない事 自分で言っちゃうなんて・・・・
墓穴掘っちゃった サイアク・・・・・
「何でが知ってるの?」
私の質問の内容が驚いたのか、目を見開いて私を見た
「・・・・・いや、 さっき女の子が教室に来てリョーマの事探してたから・・・・・」
「・・・・そう。」
ヤバイ ヤバイ 私の馬鹿〜〜
「・・・・・それだけ?」
以外にも返ってきた言葉は私の頭を混乱させた
「・・・・・は? 何が?」
「いや、別に。」
そう言ったっきり またリョーマは黙り込んでしまった
それだけ? って他に何を言えばいいの?
何を言えばリョーマは納得したの?
「はぁ。」
いきなりリョーマにため息をつかれて ふっ と視線をリョーマに向ける
なんでそこでため息が?
「やっぱ、気づいてなかったんだ。」
何の話? と首を傾げてたら 一歩一歩近づいてきて立ち尽くしていた私を ふわっと抱きしめた
「・・・・・リョーマっ、どうしたの?」
「俺、の事好きなんだけど。」
リョーマのいきなりの告白
「え・・・・だって、さっきの子・・・・告白してきたんじゃないの?」
私の事好き・・・・って言ったよね今 嘘・・・・本当に?
リョーマに抱きしめられて、どうする事も出来なくなって体が硬直する
「どうしてわかるの?」
抱きしめられて密着していた身体を少し離して私を見た
「(いや、誰でもわかるから・・・・) なんとなく。」
「はっきり断ったよ。 『俺には小さい頃からずっと想いつづけている奴がいるからアンタとは付き合えない』 って」
断ったんだ・・・・
あからさまに ほっとした顔を見るなり、リョーマは少し口元を上げた
小さい頃から・・・・・って それじゃあ最後に交わした約束 憶えてくれてたの?
「俺はまたと会えてすごく嬉しいのに は嬉しくないの?」
涙が溢れてくる リョーマがぼやける
ぼやけるリョーマの姿を作りだしている目から溢れてくる涙を手で拭って 少し背の高いリョーマを見上げて答えた
「嬉しいに決まってるじゃない!!」
それを聞いたリョーマは フッ と微笑んでくれた
今までに見たどの笑顔よりも優しく輝いてみえた気がした
「そういえばまだ返事聞いてないんだけど・・・・」
「え・・・・・言わなくても分かってるくせに。」
「ちゃんとの口から聞きたい。」
なんて事を言うのよぉ〜〜!!
改めて言うのって すごく恥ずかしいんだから・・・・・
「早く・・・・」
そんな考えも無視して私を急かす王子様
「好きだよ。リョーマ・・・・・」
「俺も・・・・大好き。」
リョーマが私の頬をそっと撫でてから 顎をくいっと持ち上げ軽くキスをした
触れただけの口付けに少し戸惑ってると
「そんなに急がなくてもこれからたくさん出来るでしょ。」
と言われて思わず顔が赤くなる
「もうっ、リョーマッ!!!」
からかわれて思わず身体を離そうと手をかけたら逆にギュッと抱きしめられた さっきよりもキツク
「。ずっと・・・・こうしたかったんだ・・・・。もう離さないから。」
「うん。離さないで・・・・・」
日本に帰ってきてからは こんな未来想像できなくなっちゃって
それでも私は もう一度リョーマに会う事をずっと願ってたの
そして恋人同士になりたいと
その願いが届いたんだね
もう 離さないで―――――
―――――――――――――――――――――――
リョーマ君初ドリームです・・・・・・。
読んでくれてありがとうございました☆
2004年7月7日 茜