あなたがいて、私がいる
それがもういつの間にか当たり前になった日々
『ずっと傍にいてね』 『大好きだよ』
そう願うばかり
この気持ちはいつまでも変わる事なく、私の中に溢れている
ありったけの愛を君に
「ー。」
お昼休みを告げるチャイムが校舎中に響き渡ってすぐに、清純の声が廊下の方から聞こえてきた
「清純、今行くから待っててー。」
そう言って、教科書を机の上に置いたまま鞄の中からお弁当を2つ取り出した
もちろん私と清純の分
付き合ってから、毎日一緒にお昼を食べていて、週に2,3回は手作り弁当を作っていく
「毎日ラブラブでいいねー。」
私の前の席に座っていたが、2人分のお弁当を眺めながら言ってきた
でもそれには答えず、笑顔だけ返して清純の元へ急いだ
「もう屋上も寒いよね。、寒くない?」
お茶を飲み干してから、まだ食べていた私の肩の上に手を置いてそっと抱き寄せてきた
清純のお弁当箱に目を向けると、既に全部食べ終わっていた
いつも残さず食べてくれる事が嬉しくて、小さく笑った
「今は平気だよ。じゃあ今度から教室で食べる?」
「それはダメ。」
「どうして?」
速攻で否定されて、どうしてか分からずに聞き返した
教室だって人はいるけど暖かいし・・・・
「今年はクラスも離れちゃったし、お昼くらい2人きりで食べたいんだ。」
「清純・・・・。」
清純にとっては何気なく言ってくれる言葉でも、私にとってはすごく嬉しい
「そうだ、23日って部活休みなんでしょ?」
やっと食べ終わってほっと一息ついた頃、そういえば・・・と思って聞いてみた
「どうして知ってるの?」
「南君が言ってたよ。」
「そっか。」
「遊びに行こうよ。」
「ごめん、その日は約束が入ってるんだー。」
珍しい・・・・いつも部活休みの日は決まってデートするのに・・・
久しぶりに休みになったんだから、デートしたかったな〜
最近テニス部はずーっと練習三昧でゆっくりとデートする時間がなかったから・・・・
でも、清純にも都合があるもんね
分かってはいるけど、つい口を膨らませた
「そうなの?つまんなーい。折角久しぶりに清純とデートできると思ったのに。」
「メンゴね。」
「その代わりクリスマスはずっと一緒にいるんだからね。」
「クリスマスもだけど・・・・今も2人きりでしょ?」
「清純・・・・。」
そう言って清純は私の頬を両手で包み込み、軽く触れるだけのキスをくれた
23日
今日は家にいるのがもったいないくらい天気がいい
折角の休日だから と思い、街へ買い物に出かけた
目的は清純へのクリスマスプレゼントと、その日に履いていく靴
本当は一緒に買いに行こうと思ってたんだけど、しょうがないもんね
この時期になるといつもよりも賑やかで、どこのお店もクリスマスカラー一色
見ているだけでとっても楽しい
少し街を歩いていて、ある物がふと目に止まった
あ、あの時計シンプルだし清純に似合いそう・・・・
ショーウィンドウ越しに飾ってあった時計を一目見て、そう思った
クリスマスだし・・・・奮発しちゃおうかな
そう思った時にはお店に入っていって、店員さんに声をかけていた
綺麗にラッピングされた包みを見て、顔が緩む
清純・・・どんな反応するかな?
その日に履いていく靴も買えたし
明日がすっごく楽しみっ!
目的の物も買えたし、もう帰ろうかな と思い人ごみの中を歩いていると、私がいつもどんな時でも想っている人の姿を見かけた
あれ・・・・清純だよね
今日は用事があったって言ってたけど・・・・買い物に来たのかな
それなら私も付き合ったのに
なんて思って声をかけようと、一歩踏み出した足を反射的に止めてしまった
誰・・・・?
清純1人だと思っていた私は、隣に並んで歩いている女の子を見て、呆然となった
見た感じ、少し年上の女の子
『女の子』っていうより『女の人』の方があっている
どうして私の誘いを断ってその人と一緒に歩いてるの?
約束があるって言ってたけど・・・・この事だったの?
まさか・・・・・・浮気?
そんな言葉が頭をよぎる
確かに付き合う前は、何人かの子と付き合ってたみたいだけど
今は私と付き合ってるし、清純も『だけだよ。』って言ってくれて
清純の言葉は信じてるけど・・・・・
この場で声をかける事もできずに、清純と女の人の背中をいつまでも見送っていた
次の日
今日は清純と一緒に過ごす日
だけど私はとてもそんな気分にはなれなかった
どうしても昨日の事が頭から離れない
暗い気分のまま、待ち合わせの場所へと向かう
「おはよー。」
「おはよう・・・。」
「、何か元気ない?」
「そ、そんな事ないよ。」
「・・・そう?今日さ、俺行きたい所があるんだけど・・・・・一緒に来てくれない?」
「いいよ。」
返事をするなり、じゃあ行こ と言って目的地まで歩き出した
私はどこに行くのか知らされる事のないまま、清純の隣をゆっくりと歩いていく
本当は昨日の事聞きたいのに・・・・・聞くのがすごく怖い
あの人とはどういう関係?
私は本当に清純の言葉を信じていいの?
いろんな感情が入り組んで、いつもより歩く足が重い
・・・もう随分歩いたよね どこまで行くんだろう?
さっきからどこへ行くのかを聞いても「ちょっとね。」と言ったきり
まだ着く様子はない
痛っ・・・・・
しばらく歩いた頃、足に痛みが走るようになってきた
まさかこんなに歩くとは思ってなかったから、昨日買ったばかりのいつもよりヒールの高い靴を履いている足は靴擦れをおこしていた
もぅ・・・・昨日はあんな場面見ちゃうし、靴擦れはおこすし・・・・最悪
足の痛みのせいで、だんだんと清純との距離が遠くなる
何か今日・・・清純も様子がおかしい
いつもならどんな時も手を繋いで歩くのに・・・・
それに気づいたのか、清純が歩いていた足を止めた
「足、疲れた?」
「・・・・平気。」
どうしてもまともに顔を見れない
こんなに気になるなら素直に聞けばいいのに、それが出来ないでいる自分が悔しくてしょうがない
とりあえず足の痛みを我慢して2、3歩先にいる清純を追い越した
「どこ行くか知らないけど、早く行こう。」
細い一本道をそのまま突き進もうとすると、突然身体が浮いた
「・・・へっ?」
「ごめんね、無理させて。」
足の痛みが取れるのと同時に清純の顔が目の前にあった
えっ、どういうこと?
女の子なら一度は憧れる『お姫様抱っこ』
今まさにそれをされている
憧れてはいたものの、実際にされるとすごく恥ずかしい
ましてここは外だし、細い道だとしても、いつ誰か通るか分からないのに・・・
「平気だから!降ろして。」
恥ずかしさでいっぱいになり、慌てて降りようとするけど、清純がそれを許さない
「だめ。足・・・・靴擦れしてるんだろ?」
「えっ・・・・?」
どうして分かったんだろう と思い、思わず降りようともがいていたのを止めた
「もうすぐ着くから、我慢しててくれる?」
そう言って私を降ろす事なく、今までと同じように軽やかに歩いていく
あまり人通りはないとはいえ、やっぱり恥ずかしい
顔を隠すように俯いた
「・・・・? 足、痛むの?」
「ううん。・・・・大丈夫。」
こんなさりげない優しさがすごく胸にしみる
もっとあなたの事が好きになっていく
もしかしたら別れ話されるかもしれないのに・・・・・・
それからしばらく歩いてやっと着いたらしく、そっと地面に降ろされた
「着いたよ。足、平気?」
「うん。ここ・・・・・?」
清純のおかげで、さっきよりはだいぶ痛みが引いた
ところで、どこまで来たんだろう
周りを見渡すと、丘の上に真っ白な教会が建っていた
そのバックには海がキラキラと太陽の光に反射していて、海の青と目の前にある白い教会がとても綺麗
「どうしてここに・・・・?」
どうして清純がここに来たのかが分からなかった
私の質問に答えることなく、教会の扉を開ける
「き、清純。勝手に入ったら怒られるんじゃないの?」
「大丈夫、大丈夫。」
それだけ言って、私に先に入るように促す
本当に大丈夫なの?と不安の色を隠せずに中を覗くと・・・・・
初めて見る光景に思わずため息が出た
開放的な雰囲気と清楚な彩りに包まれた中、暖かい太陽の日差しを浴びて透き通るステンドグラス
微妙な色調や高度な表現技法によって生み出される光と影の世界
煌めくクリスタルのシャンデリア、十字架と祭壇とそして・・・・・・白い大理石のバージンロード
どっからどう見ても、ここって・・・・・・
「何、で・・・・ここに・・・・・。」
ゆっくりと辺りを見渡して、さっきと同じ質問を繰り返した
「・・・・その前にの質問は何かな?」
私の質問に答えてくれるかと思っていたのに、急に違う事を言い出して、何を言っているのか分からずに首をかしげた
「隠しても無駄だよ。今日ずっと考え事してるでしょ。何か俺に言いたい事があるんじゃないの?」
ずっと一緒にいたせいか、私の行動はすぐ清純に読まれてしまう
いつもはそれが嬉しかったりするけど、今はそれが少し辛い
「どうしたの?俺にも言えない事なの?」
俯く私の顔を覗き込んでくる
「・・・・昨日・・・・・私、見たの。清純が女の人とデートしてる所・・・。
あれ、誰なの?・・・・・もう、私の事必要としてくれないの?」
知りたいけど聞きたくはなかった
これでもし、『好きな人が出来たから、別れよう』なんて言われたら私はもう・・・・息さえ出来なくなってしまう・・・・生きていけなくなる
清純をこんなに愛して 私にはもう彼しか受け入れられなくて
そんな私はどうしたらいいのか分からないから
「あ〜・・・見られちゃったんだ・・・・。」
少し照れくさそうに言う清純を見て、一筋の涙が零れ落ちた
やっぱりもう・・・・その人の事が好きなの?
今日ここへ来たのは別れ話・・・なの?
「ど、どうしたの?何で泣くの?」
「だって・・・・・私の事・・・振るんでしょう?」
「どうしてそうなるのさ!!あの人は従姉だよ!のプレゼント買うのに一緒に付き合ってもらったんだ!!」
「・・・・えっ?従姉?」
「そうだよ。」
「・・・・でもプレゼント買うなら一緒に行ったってよかったじゃない。」
そしたら私も清純の好きなもの買ってあげられたのに・・・・と呟くと照れくさそうに横を向いた
その行動に首を傾げた
「・・・。どうしてここに来たのか分かる?」
「それ、さっきから聞いてるじゃない。・・・・どうしてここへ来たの?」
「ここ・・・実は俺の知り合いの結婚式に出席した時に使った教会なんだ。
ここから見える夜景がすっごく綺麗で、絶対ににも見せようと思ってさ。」
「そうなんだ。楽しみ!!」
「・・・って、そうじゃないっ!!」
「・・・・清純?」
なんだ、それなら早く言ってくれればよかったのに と思っていたら否定された
やっぱり今日の清純少しおかしい ・・・・何かあったの?
「それもあるけど・・・・・一番の理由は・・・・これ。」
これ と言われて差し出されたもの
それに驚いて一瞬目を見開いた
手のひらサイズに包まれた箱の中から出てきたシンプルな指輪
「清純・・・・・これ・・・・・」
「ここでやることと言ったら一つしかないでしょ?」
そう言って私の手をとり、太陽の淡い光を受けて輝くバージンロードを進んでいく
あなたを想うだけで、こんなに高鳴る鼓動
そんなあなたは、今どんな顔してるの?
静寂の中、祭壇の前まで連れてこられて、でもどうしていいのか分からずに戸惑っていた
そんな私を見て微笑み、小さな箱の中から指輪を外すと、私の左手をとって薬指にそっとはめた
「これ買う時、従姉に笑われたけどね。『まだ早いんじゃない?』って。
だけど俺は本気だから。には俺と幸せになってほしいんだ。だから・・・・・・・」
「俺と・・・・結婚してくれませんか?」
今まで見たことのないくらいに真剣で真っ直ぐな清純の瞳
まさかそんなこと言ってくれるとは思ってもいなくて
突然のプロポーズに戸惑いながらも、嬉しくて頬に涙が伝う
返事をしたいけど思うように声が出なくて、ただ頷くばかり
「私で・・・いいの?」
伝えたい事はたくさんあるのに、今はこれが精一杯
「俺はもう、の事しか見えないんだ。これからもずっと俺の傍にいてくれる?」
それは私がずっと望んでいたこと
私の隣にはいつもあなたがいた
貴方が居れば、 いつもの夕日も なんてことない海も 全てが特別なものになって
キラキラと色を変えるの
あなたが欲しい 他には何もいらない
あなただけが、私の全て
「・・・はい。」
「もう、俺から離れないで―――俺の傍にいて。」
触れ合っている手が微かに震えてるのが分かる
でも私だけじゃない 清純も少し震えてる
今日少し様子がおかしかったのって・・・・緊張してたからなの?
それがすごく嬉しくて 幸せで・・・・満面の笑顔を返した
「それは私の方だよ。ずっと傍にいてね。」
二度とこの手を離さないで
光のシャワーが更にきらめきを添えて、今 永遠に変わらぬ誓いを―――――
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水無月紅葉さまからのキリ番リクエスト
内容は「千石君で恋人設定でラブラブだったけど、少しのすれ違いのち、
また無事にラブラブ」でした☆
紅葉さま、リクエスト通りになっているでしょうか?? キヨじゃないですよね(汗)
R&Dで景吾さんにお姫様抱っこをされて、それがたまらなくてつい入れてしまいましたvv
そして勝手にプロポーズなんてさせてしまいましたが・・・。よろしかったでしょうか?
高校3年生くらいの設定ということで・・・・(汗) すいませーん!!
これからも仲良くしていただけると嬉しいですv
2004年12月20日 茜