BABY LOVE
と付き合うてそろそろ3ヶ月過ぎたころ
俺は悩んでいた
のことが嫌いになった とかそういう理由じゃない
むしろ逆や
好きすぎてどうすればいいんか分からん
今も俺の隣で、が笑顔見せとる
「どうしたの、侑士?」
「ん・・・何でもあらへんよ。」
無邪気に笑っとる
俺の悩みなんてこれっぽっちも分かってへんのやろな
それでもが傍にいてくれるだけでも幸せやから、俺も小さく笑った
*
と知り合ったのはバイト先だった
俺が最初働いていた所へが入ってきよった
・・・もう半年前になるな
とはすぐに気があって、もう何度も飯食いに行ったり遊びに行ったりしとったけど
いつの頃からか、妙に胸騒ぎがする日々が続いた
・・・・何や?この気持ち・・・・・・
初めて感じるこんな想い
もっとと一緒におりたい もっと一緒に笑いあいたい
これがきっと『好き』なんやろうか?
「ちゃんは彼氏にするならどういう人が好みなん?」
「それって芸能人だと誰・・・ってこと?」
「・・・まぁ、そうやな」
ちょっと違うんやけど、まぁええか
「特にいないんだよね、付き合うとしたら顔よりも性格重視だと思うから・・・
ずっと一緒にいたい と思える人がいいな。」
いつでも会いたいって思ったり、抱きしめたいと思ったり・・・・
多分そう言葉が続くんやろな なんて勝手に想像して
いつも俺と遊びに行ったりしてくれてるってことは
・・・・・少しは期待してええんか?
なんて少し自惚れながらも、に対する想いはだんだんと大きくなっていった
そんな想いを告げて、付き合いだしてから3ヶ月が経とうとしていた
付き合っていく期間が長くなるほどに、俺のこの想いも日々増していった
最初は『好き』だけだったのが、独占欲ばっかり強くなっていって
もう止められへん―――
*
今日は午前中に外に出かけて、そのまま俺の家にきて2人で飯食ったりのんびりしていた
だけどが「そろそろ終電の時間だから帰るね」と言い出して送っていく所なんやけど・・・
「ねぇ、侑士。どっち行くの?こっちの方が駅近いよ?」
いつもと違う方向を目指す
そんな俺を変に思ったのかが声をかけてきた
普通にいったら駅行くのはこの道曲がった方が早いんは分かっとるけど
今日はいつもとは違う気分やった
「あぁ・・・・知っとるけど、今日はこっちから行かへん?」
「・・・いいけど。」
『変な侑士』 と背中越しに声を聴きながら小走りで俺の元へ駆け寄るの手をさり気なくとって歩き出す
いつもと違う道
もし自分1人やったら素直にこの道を曲がってたやろうけど
この今の時間をもっと大事にしたい
雲1つなく、星が輝く夜空を見上げながら
時間が止まればいいと思っていた
しばらく歩いて駅についたときに流れた放送
「最終電車、発車しまーす!」
今から切符買ってもとうてい間に合わない距離
走っていくの後についていくと、既に終電が出発していた
「あ〜終電行っちゃったよぉ!」
「ホンマやな・・・・・・」
「侑士が遠回りなんてしてるから・・・・」
「せやって・・・・・・」
もっと一緒にいたいと思ったらアカンの?
そう言おうと言葉がでかかってんけど、やめた
「・・・どうしよう」
「せやったら俺ん家泊まるか?」
「え・・・・・・」
もう少し、もう少し一緒にいたい という想いが終電を逃してしまったから
やっぱり俺が悪いもんな
俺の言葉に固まったままのに追い討ちをかけるように
「俺ん家じゃなかったらどこに泊まる気やねん?野宿か?」
「じゃあ・・・・お言葉に甘えて」
「今更遠慮なんてしなくてええのに」
再び手を繋いで、来た道を戻りだした
再び家に帰ってきて、今は風呂に入っとる
もう俺は気が気じゃなく、自分の家なのにせわしない
「お風呂ありがとう。」
お風呂から上がって頬がピンク色したの顔がまともに見れんで
とっさにまだ観てなかったDVDを探すために視線を外した
「あぁ、気持ちよかったか?」
「うん、ありがとうね。・・・何してるの?」
トコトコと俺の方に寄ってきて、隣にちょこんと座った
「この前買ってきた映画まだ観てなかったなぁ、と思うて・・・・」
「どんなやつ?」
「あぁ、これなんやけど・・・・」
映画の内容が書いてあるケースを取って渡そうと手を伸ばしたら、もそれを見ようと近づいてきてたみたいで
ほんのタッチの差でが取った代わりに、俺の手は何も掴むものがないまま引っ込めようとしたら
俺の肘がの胸に軽く当たった
「っと、すまん・・・」
俺はまさか胸に当たってるとは思ってなくて軽く謝ったら、が真っ赤な顔をしていて驚いていて
持っていたケースを落として、その音だけが部屋に響き渡る
「う、ううん!」
そして落としたケースを慌てて拾い上げ、それと同時にふわっと香るのは俺と同じシャンプーの匂い
「・・・・・・・・」
肩に手を置いて真剣な表情を見せると、一瞬戸惑ったような顔つきになって
そのあと、俺の想いを告げようとすると
「ほら、映画始まるよ。」
と話をはぐらかされて、いそいそとソファーに座った
何で逃げるん?
そんな事を考えつつも、自分の隣のソファーをポンポンと叩いて、『ホラ、侑士早く』と促してくるに
「あぁ」
と返事して隣に座った
そしてしばらくして、また俺は悩んでいた
隣で今にも寝そうな
「眠いんやったらちゃんとベッドで寝なアカンで?」
「うん、だいじょぶ・・・・・・・・・・」
目をこすりながら必死に映画を観ようとしている
は大丈夫かもしれんけど、俺が大丈夫やないねん
今にも抱きしめたい衝動を何とか抑えて映画に集中する
でも数分後には肩に衝動が走ったと共に隣から規則正しい寝息が聞こえてきて、更に俺を困らせるには十分すぎるほどやった
・・・・・俺を試してるんか?
そうとしかいいようがないの行動
俺はそんなに人間できてないんやから
確かにいつものような、外で遊んで一緒にご飯食べて・・・・・っていうデートも好きやけど
本当はもっと先に進みたい
もう、我慢なんて出来ひんよ
すやすやと俺の肩で眠るの頬を手で撫でてから、そっと口付けた
そして軽く揺すって起こす
「、映画終わるで?」
「ん・・・・・・・侑士。あたし、寝てた?」
まだ覚醒しきってないに、今度は唇にキスしようとしたら止められて
「ちょっと、侑士・・・・・・」
甘い唇にたどり着けず、しかも拒否されたような気がした俺は少し不機嫌になる
「キスしたらアカンの?」
俺が不機嫌なのが分かったのか、頬を赤く染めながら理由をゆっくりと話しだした
「・・・・・・・だって家でキスなんてしたら、その・・・・・・続き、するんでしょう?」
「俺、もう我慢出来んのやけど・・・・は俺に触れたいと思わん?」
――好きやから触れたい
そう思うことも大切なことなんやないんか?
「思う・・・・けど・・・・・・」
本気で困ってるの表情を見て、俺も焦ってたんかな と少し反省して
「の気持ちは分かっとるよ、俺が悪かった。」
本当はそんなこと思ってないけど、無理してどうにかしたいわけでもない
には嫌われとうないし
”だからもうええで?”
そう言い聞かせるようにポンポンと軽く頭を叩いて映画の続きを観だす
そしたら裾が引っかかったのかピンと張り詰めてて、振り返るとが俯きながら袖の裾を引っ張っていた
「怖いの・・・・・・その、付き合うのも初めてでどうしていいのか分からないのに・・・・」
「俺に触れられるのは嫌?」
「そんなことない!」
ひときわ大きな声で即答して恥ずかしいと思ったのか、一息ついてまた話し出す
「・・・・侑士に触れてもらってるとすごく落ち着くの。
ずっと一緒にいたい、と思ってる。」
「俺もや。せやったら、ずっと俺だけに触れて俺だけ感じてくれへん?」
今まで遠いと思ってた距離が一気に縮まって
そっと顔を近づけ、さくらんぼみたいに艶のある赤い唇に口付ける
最初は軽くしていたキスも
マシュマロより柔らかく甘い唇を、息も出来ないほどの口付けを繰り返していく
次第に息が上がったが俺の胸に倒れこんできた
やっと姫さんの心の扉、開けることが出来そうやな・・・・・
まだ息を整えてるの耳元で
「夜はまだ始まったばっかやしな。」
そう囁けば、これ以上ないくらいに頬を赤く染めるの姿
「・・・・侑士のエッチ。」
「せやかて・・・・・・・」
もっと一緒におりたい気持ちは同じやろ?
の心に聞いてみたくて
そんな想いをキスに込めた
・・・・・答えはもちろん分かっとるよ
明日の朝はドーナツ買うてきてあるから、一緒に食べような
俺たちのBABY LOVE
二人の夜はこれから始まる――――
KinKi Kids『BABY LOVE』
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とうとう始まりました。キンキのお題でテニスドリーム!!
いきなりオトナテイスト寸前ですいません(苦笑)
カラオケで『BABY LOVE』を歌ったときに「これ侑士っぽい!」っていう
ところから始まったこの企画ですが、無事に発動できて嬉しいですv
みなさまも書いてくださるそうなのでvv(無理に頼んだとも言う)
年末までの企画ですが、楽しくできたらいいな〜と思っておりますので
よろしくお願いします!!
2005年 9月 1日 茜