分かってた


付き合っていても絶対にこういう風になるって

だけど、今年は断ってくれてもよかったんじゃない?













  
下手くそな恋だけど















世間ではもうバレンタインの話一色

教室でも女子達が『バレンタインどうする?』なんて会話をしているのを、もう何度聞いたか分からない


だいたいの女の子達の目的は男子テニス部

その中でもテニス部のアイツはすごい人気がある

まぁ、野球部やサッカー部にもかっこいい人がいないわけじゃないけど

そしてバレンタインが近づくにつれて、私の機嫌はだんだん悪くなってくる





ー、機嫌悪くない?」

たまたま隣のクラスから教科書を借りにきていたが私の顔を見るなり、答えた

でも分かるのに、どうしてアイツは私の気持ちに気づかないわけ?

そう思うと余計機嫌が悪くなってくる

「・・・・そう?」

「うん、どうしたの・・・・って想像はつくけどね。」

「多分の思ってる事と一緒の事を考えてると思う。」

「あれでしょ?」

が原因の人物の方を見た

私は見たくないから見ないようにしているけど、聞きたくなくても聞こえてくる声

それは紛れもなく彼のもの


「千石君、バレンタインどんなチョコがほしい?」

「え〜キミも俺にくれるの?」

「あ、私もあげたい!!」

「本当に?みんなありがとうね。」




・・・・何あれ?何なのよぉ!!


「何あれ!!女の子にデレデレしちゃって。

 今年は断ってくれたってよくない!?」



お昼休み


いつもは清純とご飯を食べているけど、今日はテニス部の集まりでいないからと食べている

そこで今まで思っていた事をそのままにぶつけた

は呆れながらもきちんと話を聞いてくれている

「まぁ・・・そんなに熱くならないで・・・・・」

私の言いたいことは分かってくれていると思う

本当は友達に愚痴なんて聞かせたくないけど・・・・・・

どうしても許せないんだもん





私と清純が付き合い始めたのは、半年くらい前

それまでも私達は仲が良くて、周りからは『付き合ってるの?』とよく聞かれていたほど

最初はそんな風に見えるの?と思ってたけど、そう言われるのが嬉しさに変わるのに、たいして時間はかからなかった

だからそれからしばらくして清純から告白された時、すっごい嬉しかった


なのに・・・・・・

付き合い始めても女の子と仲良く喋ったりする事は変わらなかった

別に私も清純に『喋らないで』と直接言うことはないけど

そういう気持ち、少しくらい分かってくれてもいいんじゃない?


私ばっかり清純を好きになって

もう、私のこと飽きちゃったの・・・・・・・?










バレンタイン当日

朝から教室は大変な騒ぎになっていた

清純にチョコを渡そうと、学年を問わずたくさんの女の子が駆け寄ってくる

清純もそれに対して『ありがとう』とチョコを受け取っているみたい

休み時間毎にくる女の子達

私はその場にいたくなくて、女の子が教室に尋ねてくるとのクラスへと遊びに行った

どうして受け取るの?


初めて一緒に過ごすバレンタインのはずなのに・・・・・






「ヒドイよ〜!!」

今にも泣きそうな顔をしながらの教室に行った

そんな私を見兼ねたのか、よしよし と私の頭を撫でてくれた

「でも、千石君にチョコ渡すんでしょ?」

「・・・・・・・うん。」


前にデートした時に清純は甘い物が好きだって言ってた

さり気なく『トリュフとか好きなんだよね〜』とか言われたし・・・・・・

だから買ってきたトリュフ

朝から渡すこともできないまま、未だ私の鞄の中に入っている

今日、渡せるかな?

清純があんな調子だから・・・・・・・


そしてまた私の愚痴を聞かせていた所、ずっと何かを考え込んでいたが口を開いた

、私思ったことがあるんだけど。千石君の笑顔・・・・・」

「笑顔・・・・?」

「みんなに向けている時とに向けられている時の笑顔 って微妙に違う気がするのよね。」

「・・・・・・どう、いうこと?」

私に向けている時と他のみんなに向けている時の笑顔が・・・違う?

の言ってる意味が分からずに首を傾げると、小さく笑った

「それは本人に聞くのが一番じゃない?」


そう言うと『もうチャイムが鳴るよ』と追い出されるように言われて、しょうがなく自分の教室に戻った

はさっき何が言いたかったんだろう

清純の笑顔が違うって、どういうこと?



教室に戻っても清純の席の周りには女の子達がたくさんいて、少しの隙間から見える清純の顔は・・・・笑顔だった

・・・・・私にはどこが違うのか分からないよ

女の子達の黄色い声を聴きながら、顔を隠すように自分の机に顔を伏せた












 放課後


今日は清純と帰りたくないな・・・・・・

なんて思っていても清純は当たり前のように声をかけてくる

すごく嬉しそうな顔で・・・・・

、帰ろう!」

「・・・・うん。」

そんなにたくさん女の子からチョコもらったのが嬉しいの?

私のなんてあげなくても、清純には十分足りてるんだね・・・・・・

そんな私の想いなんて清純は知る由もないんだろうな



、俺に渡すものないの?」

「私なんかがあげなくたって、清純には可愛〜い女の子からたくさんチョコもらったじゃない。」

それだけたくさんチョコをもらっておきながら私のも欲しいの?

なんかそれが無性に腹立たしくて、わざと『可愛い』を強調してみた

そしたら清純が急に小さく笑い出した

あからさまに嫉妬してるのバレた・・・よね

「拗ねてるの?」

「・・・・・・だって」

「ねぇ・・・・」

「何よ。」

少し睨みつつ清純の方を見上げると、清純が笑顔で私の方を見ていた

思わず目を逸らせなくなる

「今に向けている笑顔・・・・・今日他の女の子の前でしたと思う?」

「え・・・・・」

さっきは気づかなかったけど、学校で女の子達に向けていた笑顔とは明らかに違う

今思えば、学校での笑顔は何となく笑顔の中にもどこか寂しそうな感じがした

だけど、今の清純の笑顔は私だけが知っている・・・・・・・

私と2人の時にだけ見せてくれる笑顔・・・・・・・・

が言いたかったのはきっとこのこと、だったんだ

「だから、たくさんチョコをもらっていても、本当にもらいたいたった1人の人からもらえなきゃ意味ないの。」

「じゃあ、何で他の女の子からもチョコ受け取るのよ。」

「それはね、に嫉妬してほしかったから。」

「・・・は?」

何、それ

清純の言っている意味が分からずに、眉間にしわをよせて聞き返した

「俺たち、付き合って結構経つけど一度もに我侭言われたことないんだよね。

 多分俺に遠慮して言わないんだと思うけど、の我侭聞きたいんだ。」

「我侭・・・・って」

「俺、の我侭も受け止められないくらい小さな男に見える?」

「そうじゃないけど・・・・・・」


確かに今まで私は清純に我侭とかを言った事がない

本当は女の子と喋ったりしないで って言いたいのに

清純にたくさん『好き』って言ってほしいのに

もっと私のことを見て――って言いたいのに・・・・・・


清純が何も言わないから

本当に私のこと、好きなのかなぁ? って不安になってきちゃって

「実は少し不安だったんだ。から俺に対する気持ちって言わないから、俺ばっかりのこと好きになって・・・・・

 本当はは俺のこともう好きじゃなかったり って・・・・」

「それは絶対ないよ!! 私は清純が好き!」

私の気持ちまで疑われたみたいで大声で否定した

お願い、私の気持ちまで疑わないで

いつだって私は清純のことしか考えられないから・・・・・・

「私だって不安だったんだから。

 いつも女の子と楽しそうに喋ってるし、今日だってたくさんチョコレートもらってるし・・・・・・」

「お互い不安だったんだな。」

私の言葉を聞いて、清純が苦笑した

つられて私も笑いだすと、急に清純が抱きついてきた

「き、清純?」

「これからは以外の人からはもらったりしないから。」

「うん。ねぇ、チョコレート受けとってくれる?」

「もちろん。」

そして鞄から取り出したチョコレートが入った包み

それを清純に手渡した


、好きだよ。」

「私も清純が大好きっ。」

もう我慢する必要はないから

素直に自分の気持ちを伝えられる

ちょっと恥ずかしいけど、思い切って伝えると、また抱き寄せられた

「じゃあね、俺は・・・・・・・・」

少し顔を赤くした私の頬にそっとキスをくれた









「――――愛してる」



















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バレキス第5弾☆ キヨのドリームでしたv

キヨはチョコをもらっても断らなそうな気がします(私だけかな?)

だけど、彼女のだけは特別みたいなvv

バレンタイン過ぎた後のup、すいませんでした(泣)


 2月16日   茜