此処は日本の最南端、言わずと知れたリゾート地、沖縄

そして、そのリゾート地でも有数なホテルや別荘が立ち並ぶ地区
半ば強引に連れられてきた私は今、その別荘の一室にいた





  
Happy Brand New Love





12月、クリスマスも済んで、後は新年を迎えるだけだった28日の深夜2時
会社の今年一年の納会も終わって、少しだけ疲れた身体を早くベッドに横たえたかった

マンションの前まで来ると、誰かが玄関先に居る
眼が良くない私には最初誰かは判らなくて、少し警戒して部屋に近づいた

その人物に近づくと私の目に映ったのは彼の姿だった

俺様で、我儘で、でも優しい彼は氷帝学園の高等部の2年生
学生モードの彼はどういう生活を送っているのかは知らないけれど
二人だけの時には私を甘やかして、我儘にしてしまう彼は私より5つ年下




なぜ今私がここに居るのか

それは28日の夜に遡る




玄関先で待っていた景吾は明らかに不機嫌な顔で…

『よぅ、遅かったじゃねぇか、

『景吾…今日で会社の年内の業務終了したの、その打ち上げしていたのよ』

『ふん、そうかよ』

『それより、どうしたの?こんな真夜中に』

鍵を開け、景吾を部屋に入れる
エアコンのスイッチを入れたけど部屋が暖まるにはもう少し時間が掛かる

部屋の中でも吐く息はまだ白かった
景吾が後から抱きつく
髪の毛を指で梳き、耳をくすぐるように囁く

、明日からは自由だよな』

と耳元で尋ねる

『とりあえずね』

年末年始は景吾と過ごすつもりだったから帰省も考えていなかった

『なら、問題は無ぇな』

突然景吾が私の体の向きを変え、腕を掴んで言う

『これから、東京脱出だ!』

私の頭は年内の忙殺スケジュールとその開放感と少しのお酒の相乗効果で、暫く理解できなかった
何時にも増して強引な景吾は私の鞄をそのまま持って腕を引っ張る

それに引きずられるように私が動く

このまま?
まだ、着替えもしてないのに
いや!問題は其処じゃなくて、これから…って

何時もの事ながら景吾の行動力には驚かされる

私の部屋の鍵を掛け、階段を下りる

広い通りに出ると、景吾の家のロールスが止まっていた
そのまま景吾に押し込められ、跡部家の専用セスナに乗せられたのはあっという間で…




やがて、空がラベンダー色に染まる頃、島に降り立った

東京を出てきたままの私は、この景色とは似つかわしくない
コートと、マフラーと、スーツと、ヒールの姿
そして、ケリータイプのバッグ
何処から見てもOLと言った出で立ち

『ここは?』

景吾に尋ねる

『お前の島だ』

は?なにを唐突に…

いぶかしげな私の表情を景吾が見逃す事なんて無いのは、今までの経験上知っているけど

『お前と過ごす為の島だ』

景吾がこういう人並みはずれた事を平気でする事は知っていたけど
突然こんな所に連れてこられて、お前と過ごすだなんて…

『強引ね…』

『お前はその強引な男がいいんだろ?あーん?』

『だから、強引過ぎるってば』

自然に顔が綻ぶ
確かに私は景吾の強引さが好きでもある

景吾はいつでも確信犯なんだと思う

景吾に手を引かれ、別荘と言う名のお屋敷に入る

『いくつか有るうちのそのうちの一軒だ』

なんて、言っていたけど、これって、別荘じゃないよ
お屋敷でしょ?

通された部屋にはウエルカム・フラワーが置いてあり、ドリンクも用意されていた
その部屋は私のマンションよりもずっと、ずっと広くて、
バスルームとシャワールーム、パウダールームも別で
寝室には天蓋つきのキングサイズのベッド、しかも家具が猫足って...
調度品は清潔なイメージの物ばかり
これって、まるで『超』一流のスゥィート・ルームじゃない

自分の衣服をクローゼットに掛けようとした時に気が付いた
女物の服が掛かっている

『景吾?これ…』

『あーん?なんだ?』

『この服...』

『全部お前のものだ』

『なんで?』

『だから、はなっからお前だけを連れてくるつもりだったからな』

『いや…だから、なんで?』

『なんだ?、何か言いたい事あんのかよ』

『なんで、こんなに沢山の服が此処にあるの?』

『おいおい、今日はやけに質問が多いんじゃねぇのか?

景吾は苦笑しながら私を後ろから抱きしめる
抱きすくめられ、髪を梳かれ、耳元で囁く

『んなの、決まってんだろ。、お前と過ごすなら、この位当たり前だろぅが』

こんな朝から色気付くんじゃない!とか言いたいけど
景吾と一緒に居られるのはこの上ない幸せで、やっぱり自然と笑い出してしまう

『でもね?景吾…私、半分は拉致されたような物よ?
   それに…やっと仕事から解放されて、少し、眠いの…ごめんなさい』

今まで驚きの連続だったけどそう言えば、私、疲れていたんだっけ
でも、景吾の強引さと無茶加減に忘れるところだったわ

そう思っていたら景吾は私を抱き上げ、そっとベッドに降ろされる

景吾は流石に私の年末の仕事量を心配していたらしく静かに言う
確かに12月中は全然逢えなかったし、携帯も繋がらなくて
メールだけだったのも思い出した

『いいぜ?好きなだけ寝てろよ。だが、起きたらその後は好きにさせてもらうぜ?』

そのまま景吾の腕の中で眠りに落ちる






まどろむような眠りから眼を覚ましたのは夕暮れ間近

景吾はずっと私の傍に居てくれて、一緒に寝ちゃったみたい
長い睫、サラサラの髪の毛、上品な唇、何よりも整った顔立ちは寝ていても綺麗

景吾の泣き黒子にキスをする

『…ん…』

景吾が身じろぐ

でも、やっぱりこういう時だけは景吾の『俺様』は影を潜めて、年相応の男の子になる
かっこいいけど、綺麗だけど、俺様だけど、可愛いと思うのは、私の特権

もう少しだけ、このまま、見ていても......いいよね?

景吾の手が私の腕を捉える
引き寄せられその胸に抱かれる

『起きてたの?』

『…この俺様がそう易々と寝顔なんか見せるかよ…ま、、お前は別だがな』

そう言って景吾は私を組み敷く

、暫くは誰にも邪魔されねぇからな、楽しませてもらうぜ?』

『バカね…年末年始は景吾と過ごすって、言ったでしょ?』

そして、景吾がキスを落とす

二人の冬休みが始まる



ね、景吾…

新年を迎えるにはまだ少し早いけれど、この休暇中に景吾に一言私から言ってもいい?

ありふれた言葉でしか気持ちを伝えられないけれど…




『愛してる…』って








Fin












いやぁ〜越年のつもりで書き始めたんですが…
あまりにも寒くて、スキー場ネタだったのに
常夏ネタに…
でも、今年最後に景吾での締めくくりが出来た事に対しては
自分で自分を誉めてあげたいくらい
しかし、相変わらず、名前変換少ないっすね…

でも、今年一年間(実際は半年)ご訪問いただいてありがとうございました
新年明けも頑張りますので、今後とも宜しくお願い致します

2004/12/31

新年を迎え改めて読み直して加筆しました。
少々甘いシュチュが欲しかったので…
なんとなく自己満足です(80%くらい)
2005/01/01


Sweet Lipの茜さんに貢ぎます。
こんなヘタレでごめんなさい。



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Selfishの三枝 唯様から頂いた素敵ドリームでした☆
私のサイトで1万hit御礼ドリームを配布していた所、心優しくも貰ってくださってv
そのかわりに、こんな素敵なドリームを頂いてしまいました!!

いや〜っ!!景吾と2人で旅行行きたい!!
景吾に腕枕してほしい!!
私の願望をことごとく叶えてくれた唯さんに感謝ですvvv

こんな素敵なお年玉をありがとうございますvv
今年も仲良くしてやってください。
またチャットしましょうねvv