日替わりランチ








今日は火曜日だけど、学校が創立記念日でお休み

それなのにテニス部は練習が毎日のようにある

折角英二とデートしようと思ったのに・・・・・・・

でも、今日の練習は午前中だけって言ってたから、午後は久しぶりに英二とデートする予定

だから朝からわくわくしっぱなし


そろそろ起きて支度をしようと思ってたら、英二専用の着信音が部屋に響いた

急いで携帯を取って開くと、メールが届いていた

あれ、まだ部活中だよね・・・・?

時計を見て首を傾げながら、届いたメールを開いた


『今日の待ち合わせさ、家じゃなくて直接学校へ来てくれる?もうすぐ部活終わるからさっ!お昼一緒に食べよう!!』


今日は英二が午前中は部活だっていうから、お昼過ぎに私が英二の家まで迎えに行く約束だった


『了解。すぐ学校に向かうね!』


学校へ行くなら制服出さなきゃ

私服で行って先生に見付かったら怒られちゃうもんね

クローゼットから制服を取り出しながら、メールを返信して急いで支度を始めた



















「今日はこれで終了。では解散!」

「「「お疲れ様でした!!」」」


私がテニスコートに着いた時、丁度部活が終わったみたいで、手塚君の声と共にみんなの大声が響いた

たくさんいる部員の中から英二の姿を探す

ーっ、来てくれたの?」

声のした方を振り返ると、手を振りながら英二が駆け寄ってきた

『来てくれたの?』って・・・・・

「待ち合わせをここにして って言ったのは英二じゃない。」

「そっか。」


「今日はこれからちゃんとデートなの?」

「クスッ。だから今日はやけに機嫌がよかったんだ。」

2人で会話をしてるとき、大石君と不二君がいつの間にか英二の横に並んで話に加わってきた

英二は2人の言葉に少し怒ったような口調で言葉を返してる

「も、もう!大石も不二もうるさいなぁ。いいじゃんかー、久しぶりなんだから。なぁ?」

「う、うん・・・・。」

私は『デート』と面を向かって言われたのが恥ずかしくて、少し俯きながら答えた

「じゃあ、すぐ着替えてくるから。」

「ここで待ってるね。」

部室へと向かっていく英二に小さく手を振って、近くの大きな木に寄りかかった






それから数分後、部室のドアが開いて、英二がこっちへ向かって走ってきた

、早く行こう。」

「待ってよ英二。まだみんな揃ってないじゃない。」

そう言うと、少し悲しそうな顔で私を見てきた

よく午後の部活が終わった後にも英二とご飯食べに行くんだけど、その時はいつもみんな一緒

大人数でワイワイいろんな会話しながら食事をしてるの

だから今日もてっきりそうだと思ったんだけど・・・・・・・・

「なに?2人で行っちゃダメなの?」

「そうじゃないけど・・・」

「ほい、じゃあ決まり!早速しゅっぱーつ。」

私の返事を聞くなり、いつもの明るい顔に戻って、私の手をとって歩きだした










着いた所はいつもみんなで来るファミレス

英二は手をつないだまま、ニコニコしながらお店に入っていく



「ご注文はお決まりですか?」

しばらくメニューとにらめっこしていると、ウエイトレスのお姉さんがやってきた

「えっと、ふわふわオムライスとドリンクバー。は?」

「私は・・・・日替わりランチとドリンクバーをお願いします。」

「かしこまりました。」

軽く会釈をしてウエイトレスのお姉さんが離れていくと、すかさず英二に話しかけた

「またフワフワオムライス?」

「いいじゃんか、好きなんだから。」

英二はここのオムライスがかなりのお気に入りみたいだけど、これはランチメニューにしかないから滅多に食べれない

お昼の時間に英二と一緒にここに来たのはまだ数回だけどいつもこれを頼んでる

たまには違うのも食べればいいのに・・・・

「そういうはいつも日替わりランチじゃん。」

「いいじゃない、名前はいつも同じでも中身は毎日違うんだから。」


好きなジュースを取ってきて、しばらくしてオムライスと日替わりランチが運ばれてきた

今日のランチはハンバーグ

ここのランチメニューは私の好きなものばっかりだから、いつもこれを頼んじゃうんだよね



。」

「何?」

ハンバーグを切っているときに、英二に呼ばれて顔をあげると、オムライスが乗ったスプーンを差し出された

「あーん、して?」

「・・・へっ?」

いきなりすぎて一瞬目を見開いた

『あーんして?』って・・・・・・それって・・・・・・・・

「俺が食べさせてあげるから。」

「いいって!自分で食べるから。」

2人きりならともかく、こんなに人がいる中でそんなことできないよ!

思いっきり否定したら、英二がしょんぼりとしたような顔つきになった

「いいじゃん、たまには。」

「たまにはって・・・・・・・」

そんなこと言ったって・・・・・・

今の時間は決して空いているわけではない

お昼で子供連れのお客さんだってたくさんいるし・・・・・

そんな中で恥ずかしいよ

でも、英二はそんなこと全然思ってないみたい

「いいから。あーん、して?」

「・・・・・・・・・・・・い、1回だけ、だからね。」

しぶしぶ承諾して、口をあけてオムライスを食べた


「・・・ん!これおいしい。」

「だろ〜!だから言ったじゃんか。」

私の言葉を聞いて、笑いながら得意気になっていた

本当おいしい これなら英二が毎回頼むのも分かるかも

「・・・でも、どうして急に食べさせてくれたりしたの?」

「だってが前に言ってたじゃんか。」

前・・・・・?

英二に言われて、前にあった出来事を思い出す


確か前に来たとき・・・隣の席に座っていた親子連れが、ふと目に入って・・・・・・

丁度そのときお母さんが子供にご飯を食べさせていたんだったっけ

それを見て、確か私・・・・

『ああいうのって可愛いよね。』って言った気がする

だけど・・・・・・・・

「あれは子供だったでしょー?」

「だけど俺もやってみたかったんだもん。」

だから今日はみんなと一緒に来なかったんだ・・・・・

こういう所は英二の方が子供だと思ってしまう

英二はそんな私の想いを見透かしたかのように、大きく口を膨らませた

「あー、今俺のこと子供みたいって思っただろ。」

「思ってないよ。」

「嘘だ〜、絶対思ってた。俺は子供じゃないよ。」

「じゃあ私のはいらない?」

「・・・・・・・・・・いる。」

こういう素直な所も英二のいいところだと思う

くすっと小さく笑って、ハンバーグを一口サイズに切って英二の口元に持っていった



学校が休みの日の昼下がり

今日はいつもと少し違うデートができたみたい
















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・・・・・ナンダコレ?

初の英二ドリームがこんなんでいいのか?
このお題を見た瞬間「これは英二だ!」
と思ったのですが・・・(汗)


 100のお題 :  60「日替わりランチ」


        2005年 4月27日   茜