早い所では11月下旬

遅くても12月に入れば頭の中はクリスマス一色になり、その日を好きな人と過ごす事を思い描く

それは私も例外ではなく、大好きな彼とどう過ごそうかといろいろ考えたりしていた









       
いろいろな恋のカタチ










「もうっ!何度言ったら分かるの?その日はテニス部でパーティーがあるって言ってるじゃない!!」

休み時間にかかってきた、電話越しに聞こえてくる愛しい人の声

でも今はそれが少ししつこかったりする

「そんなもん、断ればいいだろ。」

「だって・・・・。」

私だって一応青学テニス部のマネージャーなんだから・・・・

個人の用事で部活を休むわけにはいかない

「お前は俺と一緒に過ごしたくないのかよ?」

「そんなことない!!一緒に過ごしたいよ・・・・。」


できることなら景吾と一緒に過ごしたい

私だってクリスマスを景吾とどう過ごそうか楽しみにしてたんだから

私と景吾のやりとりを隣の席の不二君に聞かれていたらしく、クスッと笑われた


青学のテニス部は毎年25日にクリスマスパーティーをやっている

もちろん今年もあるから、24日に景吾と逢う約束をしてた

それに合わせて、景吾の所属している氷帝テニス部のクリスマスパーティーも25日にしたらしい

ここまでは順調だった

これなら24日はずっと景吾と一緒にいられると思ってた

手塚君からの連絡さえなければ・・・・・








「どうしたの、手塚。お昼にレギュラー呼び出すなんて珍しいんじゃない?」


クリスマスまで、後1週間となった頃、お昼休みにテニス部レギュラーが急に呼び出された

部室へ入るなり、一番に声をあげたのは不二君

部室を見渡すと桃ちゃんはまだ机に向かったままご飯を食べていたり、越前君は眠そうに椅子に腰掛けていたり・・・・

昼休みに呼び出したんだから手塚君も、いつものようにキツクは言ってないみたい

「みんな揃ったようだな。こんな時間に呼び出してすまない。

実は今年のクリスマスパーティーは24日にする事に決定した。その報告をするために集まってもらった。」

ふ〜ん、今年のクリスマスパーティーは24日にずれたんだ・・・・・って

「えぇっ!!?」

手塚君の説明を理解したと同時に声をあげた

これにはみんな驚いて私の方を見た

24日って言ったよね?

「どうして?どうして今年は24日なの?毎年25日だって聞いてたもん!!」

とにかく理由を知りたくて、手塚君に迫る勢いで聞いた

「仕方がないだろう。越前の誕生日が12月24日なんだ。それに合わせてやろうって事で竜崎先生が仰ったんだ。」

毎年25日だったから・・・・だから景吾との約束も24日にしてもらって・・・・

わざわざ氷帝のクリスマスパーティーも合わせて25日にしてもらって・・・・(景吾が勝手にしたんだけど)

だから25日は逢えないけど、24日は終業式の後からずっと景吾と一緒にいられると思ったのに


学校が違う私達は、いつも逢えるわけじゃない

学校が休みの日はお互い部活があったりするし、私が部活休みでも景吾が部活あったりでなかなか休みの日が合わない

やっと一緒にいられる日ができたと思ったのに〜!!


「・・・そういえば、ちゃんは24日跡部と逢うって言ってなかった?」

さすが不二君・・・よく覚えていらっしゃいますね

「言っておくが、欠席は許さないぞ。」

それに追い討ちをかけるように手塚君が続けた

「・・・・はい。」






やっぱ怒られるよね・・・・・

景吾の言葉が簡単に想像できてしまって、何度電話するのをためらったか・・・

でも伝えないと始まらないわけで、しぶしぶ電話をした


「断れ。」


24日の事を伝えて、まず第一声がこれ

もうそれからは「断れ」「無理」の平行線

そんな会話を今まで何度したか分からない

一緒に過ごしたい と思ってくれている事は嬉しい

けど、やっぱり部活の行事を断るのも気が引けるし、休んだら手塚君が怖そうだし・・・・

それでも何度も説得した

そして、部活のパーティーが終わった後に逢う って事でやっと納得してくれた








 *



そして迎えたクリスマス・イヴ

青学テニス部で毎年開かれているクリスマスパーティー

もちろんマネージャーである私も毎年参加していた

毎年、時間が過ぎるのも忘れて楽しい時を過ごす

でも景吾との約束が心では引っかかってる


そしていつの間にか、パーティーも終わりを迎える時間になっていた



どんなに急いでいても後片付けはしなきゃいけないもので、手早く片付けの作業をする

この後、大事な予定があるから・・・・

ちゃん、もういいから早く行ったら?」

不二君が片付けをしながら私に声をかけてきた

この後ある用事の事を知っているからだと思う

「でも・・・・・・。」

みんなで片付けてるのに、私だけ抜けちゃ悪いでしょ・・・・

そう言おうとしたのが分かったのか、クスッと笑われた

「もう大体片付いてるし、大丈夫だから。遅れると跡部の方がうるさいでしょ?」

壁にある時計を見ると、待ち合わせ時刻の15分前

「ヤバイッ!!不二君・・・あと、頼んでも平気かな?」

「いいよ。気をつけてね。」

「ありがとう!!」

急いでコートを羽織って帰り支度をする

ドアを開けて出て行こうとした時に、不二君が私を引き止めた

ちゃん。」

「何?」

「Merry X’mas! 跡部と仲良くね。」

不二君の言葉に笑顔を返して、待ち合わせ場所へと急いだ







「絶対怒られる〜!!」

時計を確認しながら、必死で待ち合わせ場所へと走る

私が無理して待ち合わせにしてもらったんだもん

本当なら今日はお昼からずっと一緒に過ごすはずだったのに、景吾に悪いことしちゃった



そしてたどり着いた待ち合わせ場所

既に時間は、待ち合わせよりも10分程過ぎていた

キョロキョロと景吾の姿を探すけど、見当たらない

・・・・帰っちゃったのかな

部活のパーティーに出ると言っただけでもすごく不機嫌そうな顔してた

『断れ』の一点張りだった景吾を何とか説得して

24日はクリスマスパーティーの後に逢う と決まった時でさえ、まだ機嫌が直っていなくて・・・・・

怒っちゃったのかな

・・・でももしかしたら と思って、待ち合わせ場所で景吾を待っていた



数分経つ間も何度も辺りを見回すけど、やっぱり景吾が来る様子はない

「・・・・やっぱり怒ったのかな。」

もう来ないんだ と思い込んで、待ち合わせ場所から離れようとした



「おい。俺を置いて帰る気か、あーん?」


その時、いつもの偉そうな声が後ろから聞こえて振り返ると、景吾が立っていた

時間に遅れて怒って帰ったかと思ったのに

「景吾・・・待ってて、くれたの?」

「遅いから青学まで迎えに行ったら、もう帰った って言われるし・・・・・・

携帯、何度かけても繋がらねぇし・・・・。」

そう言われて携帯を取り出すと、景吾からの着信履歴がたくさんあった

すれ違っちゃったんだ・・・・・

「ごめん。走ってたから気づかなかった・・・・・。」

「ま、そんな事だろうと思ったけどな。」

私の行動が分かっていたのか、フッと笑われた

「ごめんね、せっかく迎えにきてもらったのに。」

手を引っ張られて、歩こうとした景吾が眉をひそめた

「お前、手 こんなに冷たくなってんじゃねぇか。馬鹿か?」

そう言いつつも、景吾が私の冷たくなった手を温めてくれる

冷え切った手が、景吾の温もりに包まれていく

「馬鹿って何よ?だったら景吾がもっと早く来てくれればよかったじゃない。」

「青学で楽しそうにパーティーをしているちゃんを迎えに行ってやったってのに、随分な言い様だな。」

「・・・・ごめんなさい。」

「ったく・・・・。ほら、行くぞ。」

俯く私の手を繋いで、待たせていた車に乗り込んだ


行き先は景吾の家









「はい、景吾。プレゼント。」

景吾の部屋に着いて、すぐにプレゼントを渡した

と言っても、景吾は欲しいものはほとんど持ってるから、何をあげていいのか本当に困ったけど・・・・・

景吾は私からのプレゼントを受け取って、大きなソファーに腰掛けた

私もちょこんと隣に座る

は何が欲しいんだ?」

私の肩に手を回して、景吾の方へ体ごと寄せられる

「そういうのってあらかじめ聞いたり用意したりしておくものじゃないの?」

「何か文句でもあんのかよ?」

「・・・・・別に。」

大げさに口を膨らませる

別に期待はしてなかったけどね

物を貰うのは得意でも、あげたことなんてなさそうだし

でもね、もうほしいものはもらったからいいんだ

「ま、いいや。もう景吾にはプレゼントもらったようなものだから。」

「俺はまだお前に何もやってねぇぞ?」

私の言葉が不思議に思ったのか、景吾が聞き返してきた

「だって、景吾が家や部活のパーティーをずらしたり欠席してまで一緒にいてくれるんだもん。

これ以上嬉しいことないよ。」

そう言って幸せそうに微笑んだら、景吾にため息をつかれた

、お前馬鹿だな。」

「な、何でよぉ〜?」

「お前のためならな、いくらでも時間なんて割いてやるよ。」

「・・・景吾。」



「折角俺と一緒にクリスマスを過ごせるんだ。最高のクリスマスにしてやるよ。」

楽しそうに笑みを浮かべて『とりあえず・・・』と、私に触れるだけのキスを贈ってきた


クリスマス・イヴはもうすぐ終わりだけど、2人で過ごすクリスマスはこれから・・・・・・












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昨日はリョーマ君で誕生日&クリスマスドリを書いて、

突然景吾さんでも書きたくなって、書いてしまいました。

短いですが(汗)

書いてる途中、周助さんにも心揺れてしまった事は内緒の方向で・・・・(笑)


☆Merry X’mas ☆


 2004年12月25日  茜