act4 〜あなたしか知らない真実〜











あれから考えるのは跡部の事ばかり

――俺に惚れたか?―― この言葉が頭の中を駆け巡る








「どうしたの ?」

私の所まで来た愛と可奈が、動こうとしない私を不思議に思ったのか声をかける

「別に・・・・・・なんでもない」

今まで興味もなくて、散々愛達にいろいろ言っておいて

急に跡部のことを考えるようになったの・・・・・ なんて言えない

いくら仲がよくても・・・・・ 

そう思って 「早く行こう」 と愛達を促す

跡部のことばかり考えるようになっちゃって 私らしくない日々が続いてる

でもこの気持ちを 何て呼んでいいのか、自分ではまだよく分からない

「・・・・? うん、今日は私の好きなバレーボールだから楽しみっv」

「でも今日は男子も隣にいるから体育館狭くなっちゃうね〜・・・・・。」

私の考えを遮り、2人が口を開いた


「「跡部君が見れるvv」」


・・・・・・・いろいろと目的があるみたい・・・・・・









今日はあいにくの雨

だから2時間目の体育は男女で一緒に体育館を使わなくちゃいけない

氷帝の体育館は決して狭くはない

バスケのオールコートは2面作れるくらいの広さがある

けど、男子と一緒だとやっぱ狭くなっちゃう

もちろん一緒にはやらないよ コートを半分ずつ分けて使うんだ

女子はバレーボールか 楽しみっ

3人で 急いで体育館に向かった




そのときに気づくべきだったんだ

自分の体調の変化を――――















隣では男子がバスケをしてる

自分の出番じゃない女子の目線は ほとんどが、男子のコートに向けられてる

キャーキャー黄色い声をあげながら

先生も注意してるんだけど、女の子の勢いは止まらない




・・・・何かかったるいなぁ 

黄色い声が、今日は一段と頭にガンガン響いてくる

やっぱこの空間の中では、声が響くのかな

ましてこの人数

、どうしたの? 何か今日少し変だよ?」

「・・・・・そんなことないってば。」

ちょっと女の子の応援が・・・・ね

まぁ、この声には 愛も少し参ってるみたい















「おい、。」

え? この喋り方は・・・・・・

後ろから声がして 振り返ると跡部が立っていた

何で跡部がここにいるの?

隣のコートでは 男子はバスケの試合をやってる

男子の しかも一番モテる跡部がこっちへ来たもんだから女子は大パニック!!

さっきよりも、一段と声が響き渡る

「・・・・どうしたの?なんでここに跡部がいるの?」

「そんなことはどうでもいいんだよ。・・・・ちょっと来い。」

そう言うと、私の手をとり、体育館を出て行こうとした

急に立たせないでよ、立ちくらみがするじゃない・・・・・・

しかも今授業中だし、女の子にはすごい目で睨まれてるし

何考えてるの?この男は・・・・

それに今からバレーボールしなくちゃいけないんだから

「ちょっと、跡部・・・・」

「おい。」

私の言葉をさえぎって、跡部が 私の隣にいた可奈に話しかける

「私・・・・・・?」

おいおい、可奈のやつ跡部に話しかけられて少し顔が赤くなってるよ

桃ちゃんに言ちゃうぞ〜・・・・って、それどころじゃない

の奴、少し借りてくぞ。」

「ど〜ぞ ど〜ぞ」

私の事なんて眼中にないみたい

跡部に快く返事してる

・・・・・可奈の奴〜

でも、可奈の答えを聞く前に 跡部は出口に向かって歩き出していた

私の手を掴んだまま

振りほどこうにも、強く握られてて振り切れない

可奈に助けを求めようと後ろを振り返ると ニコニコしながら手を振っていた

ごゆっくり〜 みたいな顔で・・・・・・


「跡部。離してってば・・・・。」

「・・・・・。」

「ちょっと、どこ行くのよ? 授業中だよ?」

「うるせぇ。 いいから黙ってついて来い。」

やっと口を開けたかと思うと、眉間に深くしわを寄せている跡部がいた

うっ・・・・・・怖い

こうなってしまっては何も言い返せない


私・・・・跡部に何かしたっけ?

こんなかっこいい男の子に『ついて来い』なんて言われたら、みんなついていくんだろ〜な

なんて思ってみても、何だか跡部怒ってるみたいですごく怖い

とりあえず逆らうともっと怖いから おとなしくついていった


















「どうしてここに・・・・・・?」

「・・・・・・・・」



連れてこられたのは保健室

どうして保健室?

私の頭に?マークが並んだ

そんな私を無視して、跡部は保健室のドアを開けた



「何だ、いねえのかよ。」

私達が保健室に入ったときは誰もいなかった

代わりに机の上に『今日は出張に出ています』の文字が・・・・・

跡部が軽く チッ って舌打ちしたのが聞こえた

でも何で跡部 保健室なんかに来たんだろう


ま、まさか・・・・・

「跡部、早く座って!!」

どうして保健委員の人じゃなく 私を連れてきたかは分からないけど、怪我人を放っておけない

近くにあった椅子を跡部のところまで持ってきて 座るように催促する

「は?」

「だって跡部、怪我したんでしょ?手当てしなきゃ・・・・」

「バーカ。誰がんな事言った。」

「え・・・・だって」

怪我してるからここに来たんじゃないの?

じゃあどうしてここにきたの?


「お前、ここに来た意味も分からねえのかよ?」

・・・・・分からないから聞いてるんだけど

まさかサボリ?


はぁ とため息をつくと 跡部は私を椅子に座らせた

何で私が椅子に座ってるの?

私 どこも怪我してないよ

私の後ろの棚から薬箱を取り出して 体温計を私の前に差し出した

「ほら、測れ。」

「・・・・・?」

受け取った体温計を手に掴んだものの、測ろうとしない私を見兼ねたらしく、説明してくれた

「お前、自分の健康管理くらいしっかりしろよ。 熱、あるんだろ?」


え・・・・・私が?

見上げた跡部の顔は 見たことがないくらい心配そうな顔をしてた

跡部のこんな顔 初めてみた

とりあえず おとなしく熱を測ってみる


「何度だ?」

「・・・・・37、6℃」

本当に熱があった

そういえばいつもより少しダルイかも・・・・・

だけど、これは体育館で 絶えず聞こえていた女の子達の声で頭が痛いと思ってた

ほらみろ といわんばかりに跡部がため息をつく

何かため息ばっかりつかれてる気がする・・・・・

「とにかく寝てろ。」

「うん・・・・・」

ベッドに移動しようとしたら また立ちくらみがした

あ、ヤバイ・・・・・

目の前が真っ暗になって、思わず座りなおすと跡部がこっちに近づいてきた


ふわっ

次の瞬間、急に体が浮いた

なっ、何??

立ちくらみのせいで真っ暗だった視界が晴れていき、気づいたら跡部に抱きかかえられていた

いわゆるお姫様抱っこ・・・・・・

「跡部っ・・・・・何するのっ・・・・・」

「そんなんなるまで無理するな。」

恥ずかしすぎっ! ベッドまですぐなんだから自分で歩けるって!!


でも、わざわざ連れてってくれて『無理するな』って言われて

どうしてだろう・・・

その一言がすごく心に染みた


4、5歩進んで一番近かったベッドに そっとおろされた

「・・・・ありがとう。」

「こんなになるまで自分の体調に気づかないなんて そうとう馬鹿だな。」

「うるさいっ・・・・・でもどうして分かったの? 私が体調悪いだなんて・・・・」

恥ずかしながら 自分でもあまり実感がなかったのに

「お前の事ずっと見てたから。」

「そうなんだ、だから気づいたんだ。」



・・・・・って

「はぁ? どうして跡部が私を見てたの?」

だんだん意識がもうろうとする中 急に言った跡部の発言で少し意識が戻ってきた気がした

「なぁ、お前俺と付き合えよ。」

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

なんだって??

聞き間違い、だよね

きっと

うん、絶対そうだ

そんな考えを跡部はすぐに崩してくれた


「お前が好きだ。」



・・・・・・・?

何て言ったよ この男は

好き って言ったよね?

「・・・・・・・それはどういう意味?」

「そのままの意味だ。 俺と付き合え。」


有無を言わさない発言

なんなの? 私も跡部の『彼女の中の一人』にしたい訳?

少し喋って仲良くなっただけで 誰でもあんたの女になると思ったら大間違いだよ

こんな奴のことを 最近ずっと私は考えてたの?

そう思ったらなんだか自分が馬鹿らしく思えてきた


「・・・・・嫌。」

「この俺様の告白を断るってか。・・・・・お前らしいけどな。 今は熱もあることだし、また改めて聞くけどよ。

ま、聞かなくても結果は見えてるけどな。」

告白って・・・・・

そんな気持ちなんて、これっぽっちもないくせに、そんな言葉言わないでよ

「もう聞いてこなくていいよ。あんたと付き合う気ないから。」

「フッ。その気を変えてやるよ。 ・・・・・・・とりあえず今は寝ろ。」

「・・・・・うん。」



この状況で寝ろって? 熱もあるし とりあえず布団に潜りこむ

でも余計眠れない・・・・何で今こんなこと言うかな

それにいつまでいるつもり? 

跡部は私の横にあった椅子に座って 窓越しに空を眺めてる

病気のせいか、1人になったら心細いけど、今は跡部にはいてほしくない


私はあんたと違って こういうのに慣れてないんだから、からかわないでよ

跡部はこんなの慣れてるから

どうせ誰にでもそんな事言ってるんでしょ? 

そういう風に声をかけるのは私で何人目なの?



そう・・・・・・跡部は私とは違って慣れてるんだから・・・・・・




いつの間にか そのまま眠りについていた

額に冷たさを感じながら 跡部の声を聞いた気がした

すごく優しい けど、どこか切ない声








「早く俺を好きになれ、馬鹿・・・・・・。」






これは夢? それとも――――













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 act4仕上がりました。
 跡部様が告白??
 でもちゃんは信じていない様子・・・・。
 全然「跡部様」っぽくない〜・・・
 それにあんまり話進んでないし。。

 ここまで読んでくれてありがとうございました!!